中国海軍に対する日本政府の抗議は筋違いだ 「抗議」ではなく「仕返し」をする必要がある
東シナ海における中国海軍の行動が話題になっている。6月9日、中国軍艦が尖閣諸島の接続水域を通過し、15日には沖永良部島の領海部を通過した件だ。
これに対し日本政府は即座に抗議した。その内容は「日中間の緊張行為を高める」といったもの。日中は領土争いを抱えており、安全保障の分野では対立している。この状況で中国海軍の行動は挑発であるとするものだ。
だが、日本の立場からすれば抗議をするべきではなかった。事件の本質は尖閣を巡る一種のゲームにおけるルール違反である。それであれば、中国が以降のルール違反を躊躇する対応、つまり「抗議」ではなく「仕返し」をするべきであった。
こう書くと過激に感じるかもしれないが、決してそうではない。「抗議をしたことの問題点」と「仕返しを行うことの利点」を順を追って説明していこう。
2件とも法的にはまったく問題なし
まず承知すべきは、今回の中国軍艦の行動は完全に合法である、ということだ。9日に中国軍艦が通過した尖閣接続水域は、どこの国の船舶でも自由に航行し、あるいは漂泊もできる。軍艦であれば軍事的な陣形を組み、航空機を発着し、潜水するといった軍事行動も自由である。
接続水域の性質は、ほぼ公海だ。日本は自国との出入国、関税、環境汚染対策といった権利があるものの、それ以外はなにも主張できない。つまり、日本は中国軍艦の行動に何も言えない。尖閣諸島が日本の領土であったとしても、日本は中国軍艦の今回の通過を「接続水域である」ことを理由に文句は言う資格はないのだ。
15日の沖永良部島の領海通過も完全に合法である。報道されているように今回の通過は「無害通航」である。これは領海であっても沿岸国に不利益を与えず、遅滞なく通過するかぎり自由に航行できる、というもの。日本は領海における無害通航を世界中の商船・軍艦に認めている。
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