安倍氏が変われば、日本が変わる

日・中・韓で見た歴史問題

今後に向けて2. 参院選後に河野談話を否定するなら、参院選前に安倍談話を出すべき

前回政権時、慰安婦問題をめぐる数々の言動で欧米のマスコミから”二枚舌外交”と批判を受けてきた安倍氏だが、マイケル・グリーン氏も言うように、彼の言動は到底日本国民全体の総意を代表していると思えない。

しかし彼の立場上、国際社会では「日本人全体が戦時の被害者に侮辱の上塗りをしている」と誤解されてしまう。新首相はご自身の言動が国際社会での日本人の名声に直結することを慎重に考えるべきだろうし、その他もろもろの分野で日本の正当性が損なわれることを理解すべきだろう。安倍氏は戦時の指導者であった祖父・岸信介氏の墓前で誓った約束よりも、未来の国民と国際社会との信頼を大切にしてほしい。子供たちに”安倍史観”を強制するのは、日本の歴史教育の安倍家による私有化につながる。

仮に安倍氏が(参院選後に)河野談話の否定を断行するなら、代わりにどのような安倍談話であの戦争を総括し、戦争の教訓と反省を次代に伝え国際社会との和合を果たすのか、参院選前に国民に問うべきだ。

また安倍氏が”自虐史観”とレッテルを貼り、今回文科相に任命した盟友・下村博文氏、政調会長に任命した高市早苗氏等と共に10年以上も攻撃してきたあいまいな内容の歴史教科書を、右派層が望む国際社会に到底受け入れられない内容に変えては、それこそ”自慰史観”になり、日本の歴史教育がガラパゴス化してしまう。

ひとつ怖いのは、安倍氏が前回政権時より賢くなっていることだ。参院選前に自身が本当にやりたい改憲や歴史教育を追求すれば、その点において支持を受けていないので選挙が不利になることを知っている。衆院選挙で公約にしていた尖閣常駐、靖国参拝も参院選前なので戦略的に見送り、参院選前の争点化を避けている。そして、衆参で過半数の議席を得て国民や他党が何もできなくなったところで、改憲や再軍備を強硬に推し進める可能性が高い。

首相は安倍史観や国民の信を問うために、自分自身の本当の最優先政策である安倍談話の中身、歴史教育の中身、憲法改正の中身を参院選の前に国民に誠実にぶつけるべきだ。

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