ついにアリババ株を売却した孫社長の胸の内 なぜ今、資産売却を急いでいるのか

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ベライゾンは、ソフトバンク子会社の携帯大手、米スプリントのライバル企業。「拒否権を有する35%の株式を競合相手に持たれては、日本のヤフーの意思決定が遅れる」というのが、ヤフー株買い増し説の主な根拠だ。

だが、ソフトバンク副社長のニケシュ・アローラ氏は、アリババの投資家との電話会議で、「ソフトバンクは米国のもの(things)を買うつもりはない。われわれは米ヤフー(の再建など経営)にはかかわっていない」と明確に否定している。

実際は手元資金も潤沢

次に考えられる理由は、ソフトバンク自身が説明する、巨額負債の返済である。

ソフトバンクの有利子負債は3月末で11兆9224億円と巨額。全上場企業ではトヨタ自動車に次ぐ。

しかも、1年以内に返さなければいけない“返済圧力”は、年々増している。2015年3月末と比較すると、今年3月末の返済圧力は、6293億円も増えている。

ただし、これも資産売却を急ぐ理由としては、説得力に欠けよう。返済圧力1.5兆円のうち、短期借入金などロールオーバー(借り換え)がプログラム化されているものを除くと、約7700億円。手元資金も減ったとはいえ、3月末で2.5兆円ある。会社側も「株式売却に頼らずとも償還に懸念はない」とする。

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