日本銀行は民意に応えられるか? 市場動向を読む(為替)
実際、ドル円が特に高い相関を示してきた米国債2年物金利の趨勢的な低下が止まった昨年秋以降、FRBの量的緩和拡充が続く中で、ドル円はむしろ底入れ色を強めてきた。米ドルの通貨インデックスに至っては、09年にFRBが量的緩和を拡充し始めてから、むしろ、02年以降の長期的なドル安局面を脱し、横ばいトレンドに移行する動きを強めてきた。
このように、量的緩和と為替相場の関係は極めて曖昧である。「安倍政権の発足を受け、日銀の金融緩和色が強まり、円高是正が進む」という見解は、根拠や実証性に乏しい脆弱な議論だと言える。
今回の円安は投機主導、巻き戻しの円高は厳しくなる
筆者は、日本の国際収支悪化を背景に、長期円高が1年前に終焉した(ドル円は07年以降の長期下落トレンドが、値幅10円程度のドルの安値保ち合いに移行した)と考えてきた。今回の円安局面も、日銀人事が佳境を迎える2013年2、3月頃まで続くと睨んでいるが、投機主導で加速した今回の円安局面は、その巻き戻しによる円高も相当厳しくなると思う。
だが、安倍政権の発足が全く無意味な訳ではなかろう。特に、12年12月20日の金融政策決定会合の議長指示で、日銀がインフレ目途を、恐らくもう少し拘束性の強い「インフレ目標」という名称に変更し、水準を1%から2%へ引き上げることが濃厚となった。
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