「中央銀行バブル」は、いつ完全にはじけるか ギリシャ神話「イカロスの翼」になる危険性

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結局FEDや中央銀行は、目標としてインフレ数値という太陽を掲げながら、実際には近づいてはいけないというジレンマがある。そこで彼らは政治に財政出動を訴えるのだが、仮に実現しても、財政はどこに使うのか。世界が似たようなジレンマになった1937年、当時の先進国は第二次世界大戦という実需を選んでしまった。だが今の様相は少し違う。

この250年、世界を牽引した米英の政治は、まだまだ孤立主義を選ぶ可能性がある。しかし、バーナンキ、イエレンと続くハト派のFEDを筆頭に、中央銀行では、古臭い偽りの資本主義の殻を捨ててでも、新しい試みが始まっている。

最後は「ヘリコプター」で資本主義の終焉へ?

ヘリコプターマネーは、簡単に言えば減税等で国民に直接マネーを配分し、財政の欠落は中央銀行が負担することで、究極は国の借金までも帳消しに出来るという夢のようなストーリーだ。

1999年、FEDに入る前のバーナンキ前FRB議長が、プリンストン大の教授だった頃、日本と日銀を舞台に、この実験の提唱(英文)をしている。

この理論は、保守派を抱える欧米ではまだまだ実現不可能だ。だが今の日本のように、強い政権で日銀の協力が可能なら実験してみたらどうか。米国のリベラル派からはそんな囁きが聞こえている。

いずれにしても、デフレの低空飛行が続き、新しい方策のための時間が稼げる場合、中央銀行にはまだまだ救世者としての期待がかかる。しかし、何らかの理由で(天災など)、予期せぬインフレが起こった時は、米国を代表する投資家の一人であるピーター・ティールが英FTで語ったような「最後のバブル」がはじける時になるだろう。

滝澤 伯文 CME・CBOTストラテジスト

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たきざわ おさふみ / Osahumi Takizawa

アメリカ・シカゴ在住。1988年日興證券入社後、1993年日興インターナショナルシカゴ、1997年日興インターナショナルNY本社勤務。その後、1999年米国CITIグループNY本社へ転籍。傘下のソロモンスミスバーニーシカゴに転勤。CBOTの会員に復帰。2002年CITI退社後、オコーナー社、FORTIS(現在のABNアムロ)、HFT最大手Knight証券を経て現在はWEDBUSH傘下で、米国の金融市場、ならびに米国の政治動向を日系大手金融機関と大手ヘッジファンドに提供。市場商品での専門は、米国債先物・オプション 米株先物 VIXなど、シカゴの先物市場商品全般。

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