フロリダ惨劇から学ぶ「テロ時代の暮らし方」

疑心暗鬼に包まれた世界をどう生き延びるか

また、彼にとって、ほかのたくさんの死体と折り重なるあなたの死体には、彼が影響を受けてきた社会と文化、そしてあなたが生きてきた社会と文化のあいだで繰り広げられるもっと大きな戦争に役立つ道具以外の意味は、何もない。

では、どうすれば良いのか。ガードマンを雇うような著名人でもなければ、こうした脅威にはあきらめの念をもって対することだ。できる限り肩をすくめて人生をやり過ごすという、フランス流の古来からのやり方で。パリ在住の知人は最近、私に「カフェで会いましょう」と言った後、「誰も私たちを撃ちませんように」と付け加えた。

結局、あなたは実際になってみるまで、テロの犠牲者には決してなれない。たいていは。しかし、必ずしも、そうとは限らない。

ほかの方法もいくつか残されている。すべてが有効とは言えないが、精神的には必要な、こうした脅威のもとで生活するために人々が採用している方法だ。バスが標的なら、バスに乗らないようにするのだ――そうしなければいけない事情がない限り。自分の子供にもバスに乗らないように言い聞かせる。子供は言うことを聞かないものだ。バスに乗ることに慣れているからだ。

雷は同じ場所に二度落ちるということを自分自身に言い聞かせよう。エルサレムでハマスが18番線のバスを爆破したことがある。それから数日後に、彼らはその路線のほかのバスを爆破した。

人混みを避けるのも一手だが

ほかにもある。まわりと違う時間に食料品店や銀行に行くのだ。利用客がほとんどいないときだ。金曜礼拝にモスクに行くのを控えるのもいい。要は人混みを避けるのだ。自爆テロを行う人間が、1人や2人だけを道連れにできればいいと思う例は極めて少ないからだ。

今のパリなら、通りから打ち込まれる機関銃を避けるためにカフェの奥に座る。起こるわけがないが、もしものときに備えて――いや、今ならそういうことも起こりかねなかったことがわかるだろう。

フロリダ乱射事件のオマル・マティーン容疑者。SNS「マイスペース」に掲載された同容疑者の写真(ロイター)

ブリュッセルのショッピングアーケードに行くのもやめよう。あるいは、新しいサングラスを購入する際はなるべく午前11時や午後3時に店に立ち寄る。旅行中なら、大きな観光名所に行くのはやめる。モナリザはもう観に行かない。

オンラインショッピングをする。映画を観に行くのもやめたほうがいいかもしれない。政治集会にも行かない。行き先がどこであろうと、人混みができる場所には長居しないようにする。

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