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キャリア・教育 #企業再生のリアリズム――地域の現場から

社内を改革する者が、心得るべきこと 「最大多数の最大幸福」を目指せ

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  • 中里 基 企業再生ファンド勤務 ターンアラウンドマネージャー
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一見非効率でも、愚直にやれば結果は出る

昨年のことです。再生計画の1つとして会津若松市内の路線統廃合を実行するに当たり、私の所属するバス会社と会津若松市は、共同で具体的な利用者の顔を理解することから始めました。乗降調査と呼ばれるものです。

会津若松市と二人三脚で、利用者がどこで乗ってどこで降りるのかを毎日調査する。それらを細大漏らさず把握したうえで、その人たちが乗る時間帯や経路について、他路線を迂回できないか、停留所の場所を変えられないか、あるいは増便で対応できないかを考える。それでも吸収しきれない場合は、タクシーを使ったらどうかを考える。

そのうえで見出した選択肢の組み合わせを、自治体の広報、回覧板などを通じて徹底的かつ繰り返しのコミュニケーションを行い理解を深めてもらう。併せて、利用者からの質問や意見をオープンに取り込み、事業者・自治体・利用者共同の会議体の中でその内容を一つひとつ吟味・精査していく。

一見膨大で非効率な作業ですが、愚直にやればやっただけ結果が出ます。始めることが(心理的に)とても難しい作業ですが、物事は始めればいつかは必ず終わります。

その結果起こったこと。

路線を統廃合して効率的になり、収支が改善した一方で、利用者はほとんど減りませんでした。残った路線の停留所の位置関係やダイヤ・時間帯を工夫することで、残った路線を利用者の受け皿にすることができました。つまりコスト削減をしながら収入維持を実現できたことになります。

善意だけでビジネスはできません。これは真理です。ただし利用者を第一に考えれば、収支は結果的についてくる。これもまた真理です。コスト削減は自社の努力、収入はお客様からの評価。まさにその典型だったとも思います。

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【自らに問いかける3つのこと】

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