なぜ中国で、日本ブランドは売れないのか? 品質で勝ち、ブランドで負ける日本勢

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韓国の国家ブランドイメージ戦略

8月27日付「China Daily」に、韓国の国家イメージ戦略担当者のインタビュー記事が掲載されていました。これも政府による国家イメージの向上プロジェクトの話で、企業と国家の違いこそあれ、国民の税金を投下して国を挙げてのブランド戦略を推進している点は中国と同じです。

記事によると、韓国は2009年に実業家、官僚、専門家から成る大統領直属の国家ブランド審議会を設置しています。具体的には、G20などの国際会議の場を活用したり、世界各国の留学生をリポーター役にしたSNS経由のコミュニケーションを行ったりして、韓国のイメージ向上へ向けた戦略的ブランド発信を行っているとのことです。

中国が国を挙げて国内企業のブランド育成を支援する背景には、「中国の製品や企業に今必要なのは強いブランドだ」という認識があります。

ひるがえって日本企業はどうでしょうか? 

私の最大の懸念は、日本の経営者や現場のプロダクトマネジャーの中に、ブランドが象徴する価値でモノやサービスを売っていくこと、そしてブランドのビジョンを通して中国の顧客と価値観を共有し合うことの戦略的意味を、理解していない人が多いのではないかということです。

中国で日本の白モノ家電やデジタル機器が一部を除いて総敗北を喫している理由が、「高機能すぎて現地ニーズに合わない」とか「コスト高構造が価格に反映されてローカルの低価格商品にかなわない」など、製品やマーケティング戦略の問題とされるケースが多いように思います。

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