まるでコクピット、"ガンダム建機"の真髄 日立建機のアスタコ、”生みの親”が語る
ところが、腕が2本あると世界が変わる。まるで人間の両手のように、「長い物を安定して持つ」、「持ち上げた物を切る」、「右手が穴を掘り、左手が掘っていて邪魔な物をポイッと投げる」といった作業が可能になるのだ。
アスタコが有名になったのは、東日本大震災の後のこと。宮城・石巻と南三陸町で、津波で店の前に流されたコンテナを細かく切って運ぶ作業などで威力を発揮した。被災地のがれき処理現場のように、狭く、機械や人が不足しているところでは、アスタコはもってこい。車が2台すれ違えるかどうかというところにも入れて、1台で2台分の働きができる。
震災後、どこからともなく“ガンダム建機”の異名を取ってメディアを賑わせたが、小俣氏は“ガンダムモデル説”を否定する。
ガンダムをイメージしたワケではない
「われわれからは全然“ガンダム”とは発表していないのに、運転席に座ってもらうと、皆『ガンダムのコクピットみたいだ』と言います。『お前らガンダムに乗ったことあるのか!』と心の中で突っ込んでいます(笑)。結果としてこのようになっただけで、別にガンダムをイメージしてこの運転席を作ったわけではありません」
今でこそ世の中で有名になり、これまで地雷処理機が人気だった日立建機社内でも、アスタコをやりたい人が急増中だ。花形事業である。だが、この面白くてかっこいい双腕機がメーカーの一事業として認められるまでには、並々ならぬ苦労があった。
「最初は『何それ?』の世界から始まりました。『そういうおもちゃみたいな仕事をするんだったら、ほかのをやりなさいよ』と言う人も、いなかったわけではないです。“一丸になって”どころじゃなく、半信半疑の目がわれわれを取り巻く中で、まずは1回実績を作って、皆を巻き込んでいくんだと決意しました。
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