韓国のお年寄りは、地下鉄で宅配をしている 無料パスを活用、「安価で丁寧」と評判は上々
朝8時。自宅近くにある乗り換え路線が多い駅に出勤。ベンチに座り、会社からの連絡を待つ。「待ち時間が長いとつらいですね。連絡が来るまで手のストレッチングをしたり、体をほぐしたりしています」と朴さん。乗り換えが多い駅で待機するのは利便性からで、ソウル市内に数カ所あり、それぞれが自宅近くの駅に出勤する。
会社から宅配の連絡が携帯電話に入るとすぐに文字メッセージが送られてきた。そこには、依頼主、届け先の企業名と担当者名、各企業の最寄りの駅の出口。そして、道案内が、例えば「◯◯駅2番出口を出て、150㍍くらいの坂を登り、右側にある5階建てビルの303号室」といった具合に書かれていた。
アプリの使い方は息子に教わった
朴さんは、そのメッセージを小さなメモ帳にうつし始めた。
「何度も携帯を見ると充電が切れてしまうのではないかと心配で、私はこうして書き写すんです。このほうが見やすいしね」
几帳面で小さなハングル文字が横一列にぎっしりと並んでいる。こうしてメモをとると、後で会社に請求書を出す時に便利だとも言う。次に宅配伝票に必要事項を書き込んだ後、メモを見ながら携帯アプリの乗り換え案内を開いて行き方を確認し始めた。
「(アプリの)使い方は、家で休んでいればいいのに、なんて小言を言われながら息子に何度も特訓してもらいました」と笑う。何両目の車両に乗るのかまで細かく確認して、いざ出発だ。
ソウル市内から片道1時間ほどの郊外まで行くこともあるそうで、車中では、例えば本を読んだり、どんなことをするのかと尋ねると、「長く乗る時は最初に本を読んだりもしますが、ほとんど何もしません。性分なのか、読書などに夢中になって駅を乗り過ごしてしまうといけないと思って気が気でなくて」と苦笑い。
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