マレーシアは旅行やホテル業などが視野に
インドネシアやタイは、1人あたりGDPが3,000ドルを越えてきています。日本では、最も経済成長が加速した1960年代の前半に相当します。このレベルまで経済が発展してくると、資本ストックがある程度形成されて製造設備を整備できる上に、国民の教育レベルも高まってくるので、労働集約型の製造業が立ち上がり始めます。
高度な技術を必要としない工程のみ、人件費の安さを活かして海外からOEMで受注して作っている企業などを投資対象として検討していくべきでしょう。また、1人あたりGDPが3,000ドルを越えてくると、中間層が拡大し、初めて耐久消費財を購入し始めるので、そうした商品を扱う小売りや、不動産の購入も広く一般に可能となるので、不動産業も要注目でしょう。
一方、マレーシアは、1人あたりGDPが1万ドル近くになってきています。日本では1970年前後に相当します。1人あたりGDPが1万ドルを越えてくると、消費形態も多様化し、サービス産業が拡充してきます。
そうした需要の取り込みが見込める、旅行やホテル、エンターテインメントなどのサービス産業が投資対象となってくるでしょう。OEMなどを通じて技術レベルが高まってくるメーカーも多く出てきて、そうしたメーカーから最終製品まで自社で製造する企業も出てくるので、技術集約型の製造業も投資対象となるでしょう。
シンガポールになると、1人あたりGDPが5万ドル近くと、日本(2010年:43,000ドル)よりも高いレベルにまで経済が発展してきています。1人当たりGDPが3万ドルを越えている国は一般的に先進国と見なされます。
先進国は、当然ながら自国の経済成長のペースが衰えてくるため、グローバルで差別化でき、海外進出を広く行える業種に投資しなければなりません。人件費の割合が低いIT・ソフトウェアや製薬など知識集約型の製造業や、高度な専門的人材を必要とする金融やコンサルティング業が投資対象として浮上します。
先進国という地位に付随してくる高いブランドイメージを活かした、高級装飾品メーカーや医療、美容などの付加価値の高いサービス産業も面白いでしょう。
この分類は、東南アジアに限らず、広く世界に投資をしていく際にも適用できます。個別の国や個別の企業に投資をしていくときには、まずその企業がある国の経済発展度を把握して、大きく4つのカテゴリ(1人あたりGDP3,000ドル以下:フロンティア、3,000~10,000ドル:新興国、10,000~30,000ドル:中進国、30,000ドル以上:先進国)に分け、ステージに応じて投資対象を絞るようにしてください。
次回は、優先すべき投資業種を絞った後に、投資する企業をどのように選んでいくのかについて解説します。
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