FRBのインフレ目標政策の考え方 新たなコミュニケーション政策を導入(Fedウォッチャー)

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そうしてみると、現在の量的緩和策が将来の歴史家から賞賛されるものになるのかどうかは、当局にすらわからないと言える。現在の政策がFRBへの信認の崩れや、新たな信用バブルを招くリスクは決して小さくはない。反対票を投じ続けてきたラッカー総裁の不安もそこにある。

ただ、万能薬ではないし、不確実なものであっても、与えられた使命(最大限の雇用と物価安定)を達成するために、アイデアを持ち寄り、工夫を凝らす中央銀行システムを抱える米国は幸運と言えるのかも知れない。FOMCの政策決定で議論を交わすのは7人の理事と12人の連銀総裁だ。19人ものフルタイムの専門家を、膨大な数のエコノミストが支えている。

バーナンキ議長は、あくまで法律で定められた使命達成のために努力しているに過ぎないと言うだろう。しかし、彼の発言は単なる義務を超えたものに聞こえる。「労働市場に現在広がっている問題は、人的な面でも経済的な面でも極めて大きな損失をもたらしている。」「失業率という数字だけを見ていてはならない。0.1%や0.2%という数字の裏には、本当にたくさんの人々がいる。」ワシントンDCの政治家向けではない、米国民への愛を感じるというのは買いかぶり過ぎだろうか。
 

小野 亮 みずほリサーチ&テクノロジーズ 調査部 プリンシパル

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おの・まこと / Makoto Ono

1990年東京大学工学部卒業、富士総合研究所(現みずほリサーチ&テクノロジーズ)入社。98年から2002年まで米ニューヨーク駐在。米国経済担当、欧米総括などを経て現職。

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