アジアでならトップに 業務提携できれば出資も−−永易克典 三菱東京UFJ銀行頭取

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アジアでならトップに 業務提携できれば出資も−−永易克典 三菱東京UFJ銀行頭取

アジアでの動きが目立つが、海外戦略について

やはり、グローバルベースで名誉ある地位を占めたい。Tier�(中核的自己資本)比率8%というのはメガバンクのターゲットと思うが、私どもは7・7%まで来た。そこで昨年から、資本を使ったマイナー出資とアライアンスの組み合わせで、アジアを中心に展開することを始めた。例を挙げれば、アセットマネジメントに強い豪州のチャレンジャーや、イスラム金融でナンバーワンのマレーシアのCIMBなどだ。アジアは成長性が非常に高い。中国が10%、全体でも8%以上ある。アジアであれば当行もトップバンクとしてプレゼンスを発揮できるチャンスがある。

2欧米の金融機関に出資する考えはないのか?

まだ金融市場の混乱に伴う損失に打ち止め感がない。金融市場に方向感が見えないうちに出資するのは一種の賭けで、銀行としてはできない。基本的に業務提携ができて、ビジネスでウィン・ウィンの関係になるものしか考えない。欧米のビッグプレーヤーはなかなかそういう話に応じないでしょう。純投資はやるつもりはなく、金利や配当を高くするから出してくれという論法なら乗らない。

国内預金コストは低い。海外案件の取り組みは好機では?

非常にチャンスだし、現実に去年6~7月からは、日本のメガバンクに対する要請は増え、融資額は2兆円増えた。M&Aの大型案件では、まずつなぎ融資を出す中核的な銀行として3~4行に声がかかるが、そこに入れるようになった。従来はなかなか呼んでもらえなかった。ロットも大きく、そこに入れば、最後までエクイティや債券、長期融資まで何度も声がかかる。

リテールは道半ば。国内法人向け融資の収益力は低い。

アコムはかつてほどの収益は出ないが、健全な消費者金融として安定化できる。三菱UFJニコスも2600万口座を持ち、カードでナンバーワンプレーヤー。ジャックスに信販を移し、再編を進めている。各社とも着実に収益力は向上している。当行の個人預かり資産も約60兆円ある。金利が1%上がれば、ものすごい収益源になる。法人向けは合併によるシェア調整でボリュームが減っていたが、前年度第3四半期で増加に転じた。利ザヤ低下は続いていたが、上期には改善するだろう。法人向け融資は畑であり、そこからクロスセルで取引が増える。

池田銀行と傘下の泉州銀行が統合する。地銀の再編は?

自ら誘導することはしない。こういうことは当事者のトップ同士で機運が高まらないとうまくいかない。決まれば、支援は惜しまない。
(大崎明子 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)

ながやす・かつのり
1947年生まれ。東京大学法学部卒。70年三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。2005年5月、副頭取。06年6月三菱UFJフィナンシャル・グループ副社長。08年4月から現職。

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