田中:岩瀬さんがもうまぶしすぎて……。ほんと、チッポケな人間なんです(苦笑)。
岩瀬:僕も昔、同世代の人が活躍しているのを見て、悔しいって思うことが当然あったんですけど、でも損だなって気づいたんです。だから、会社を立ち上げるとき、いろんな人に会いにいって、いっぱい話を聞きまくりました。
そうすると、みんなの経験を全部集約できて、みんなの失敗を繰り返さないで済むんです。事業がうまくいくかどうかは、どれだけインサイト(洞察、明察)を得られるかですからね。何でみんなもっと話を聞きにこないのかなあと思います。
僕、人の話をよく聞くので、素直だって言われるんですけど、でも素直なんじゃなくて、合理的なんですよ。いろんな人に教わって知恵を集めたほうが絶対いいと思うんです。
田中:その点はぼくも大賛成ですね。この人のこの話は印象に残ったというものは何かありますか? 起業や経営という観点で。
岩瀬:やっぱり半年ぐらい経っても全然うまくいってなくて、もうどうやっても立ち上がらない感じがしていたときに、ベンチャー経営者が集まるカンファレンスでベンチャーキャピタリストの方と一緒になったので、相談したんです。その方はDeNAがまだ社員3人ぐらいしかいない創業当初に投資しているんです。
その彼が「DeNAなんて3年ぐらい迷走していたよ。ライフネットはまだ半年じゃない。全然大丈夫だよ」と励ましてくれて。たくさんベンチャーを見てきている方にそう言ってもらえると、やっぱりすごい勇気づけられましたね。
田中:そうですか。
岩瀬:編集者の方にも慰められました。「君たちがやろうとしていることは生保業界に革命を起こすようなものだろう。革命は半年では起こせない。10年ぐらいかかるから、じっくりやりなよ」と言われて。人に相談すると、ものの見方が変わって楽になりますね。
田中:なるほど。
岩瀬:今、田中さんは創業して何年ですか?
田中:ちょうど2年ですね。最初の1年はホント全然うまくいかなくて、ビジネスモデルを変えようかなと思ったぐらいです。
岩瀬:今はうまくいってるんですか?
田中:おかげさまで。ロコンドでは「買ってから選ぶ。」と呼んでいるのですが、15万個の靴やバッグの中から気になったものを取り寄せて、気に入ったものだけを残して、他はカンタンかつ気軽に返品!という購買スタイルが徐々に浸透している感じです。
岩瀬:よかったですね。
田中:まだまだこれからですけど。御社は今年、IPO(新規株式公開)をされて、1つ目標をクリアされたという感じですか?
岩瀬:目標をクリアしたという感じはなくて、ようやくマラソンでいうと、スタジアムから出た、みたいな感じです。トラックを1~2周走って外に出たというところ。
田中さんも一緒だと思うんですけど、会社をつくったからには大きくして世の中に「インパクト」を与えるようなことをしたい。ライフネット生命というものを通じて、ただ、保険を売るだけじゃなくて、いろんなことを世の中に伝えていったり、自分がいろんな経験をできたらいいなと思いますね。
(構成:上田真緒、撮影:今 祥雄)
※対談の続きは12月25日(火)に公開します
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