岩瀬さん、優等生キャラは疲れませんか(上) 長所と短所は裏返しですよ

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田中:具体的にどんなことを言われるんですか?

岩瀬:「自分たちは保険のことは何でも知っている。保険一筋だ。こんなアウトサイダーにいきなり業界に入ってこられてはたまらない」とか「ネットで保険は売れないよ。ハーバードだか何だか知らないけど」みたいなことを随分言われましたね。

岩瀬大輔(いわせ・だいすけ)
ライフネット生命保険副社長

1976年埼玉県生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験に合格。98年卒業後、ボストン コンサルティング グループに入社。2006年、米ハーバード経営大学院(HBS)を日本人4人目のベイカー・スカラー(成績上位5%表彰)として修了。帰国後、ライフネット生命保険設立に参画。09年より現職。10年、世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2010」に選出。内閣府IT戦略本部専門調査会委員。主な著書に『ハーバードMBA留学記 資本主義の士官学校にて』『生命保険のカラクリ』『ネットで生保を売ろう!』『入社1年目の教科書』『入社10年目の羅針盤』などがある。

田中:あははは(笑)。

岩瀬:ただ、そういうことをいちいち外に出さないです。ブログやツイッターではいつも元気なフリをして、プレスリリースも最初の半年間、ほとんど伸びてなくても、「対前月比10件増えました!」「今月も契約数最高を更新!」みたいな。とにかく前向きに明るいニュースを発信し続けて、しんどいことは外に出さない。

田中:すごいですね。僕の場合、基本、前向きだとは思いますけど、しんどさやグチを思わず口にすることはあったと思います。しんどさやグチを外に出さない秘訣ってありますか?

岩瀬:秘訣じゃなくて、合理的な判断です。やっぱり外部への発信も仕事のうちなので、会社の戦略としてやっている。本当はまだ成功していないんだけど、あたかも成功しているかのように見せるという。それは僕、得意な方で、モノは言いようです(笑)。

田中:(笑)。

岩瀬:別に誰かに自分の悩みを聞いてほしくて発信してるわけじゃないですから、「ちぇっ」と思うことがあっても言わない。ブログやツイッターは自分のリアルなグチをこぼす場所ではないですからね。仕事だと割り切っています。

田中:じゃあ、岩瀬さんはどこで誰にグチるんですか?

岩瀬:仲間にはグチります。社長にもグチれます。でも、社員にはグチらない。社員はたくさんいますから。株主も金融庁もマスコミも競合も、大勢の人がブログやツイッターを見ていますから、うかつにヘンなことは言えません。

当社は金融業なので、ある程度、パブリックな存在だというのもあります。それと少しずつ会社の規模が大きくなってステージが変わってくると、やっぱり優等生的発言にならざるをえないですね。

田中:御社の現状を伺っていいですか?

岩瀬:開業から4年経ちまして、2012年3月に上場しました。開業当初、「5年で保有契約数15万件以上」を経営目標に掲げて、今年11月12日に突破しました。目標より半年早く達成できたので、そういう意味では順調に推移していると思っています。

田中:すばらしいですね。

岩瀬:13年5月に開業からちょうど5年になるので、もう一回仕切り直しをして、第2の創業みたいな気分でまた走り続けたいと思っています。

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