地方創生に欠けている「チーム感」の作り方 意外と話し合わない地域の人たち
永井:ところで、JTBさんは、時代にあわせて事業を変えてきた歴史があると聞きました。
旅行会社の形も変わる
山下:そうですね。JTBの前身である日本交通公社の創業は1912年ですから100年以上前です。当時、日本は日露戦争の後でした。国の課題は、近代化や外貨獲得、一等国としていかに認められるか、でした。そこで外国人観光客誘客促進を目的に設立されました。第二次世界大戦の後は外務省の委託で米軍基地の中で米軍関係者の渡航手続きをしたりしました。
その後の高度成長では、日本人の余暇をいかに充実させるかが課題でした。では今はどういうミッションなのか。人口減少で課題も山積み。そんな日本を観光の力で元気にするっていうのが大きなミッションだと思うんですよね。この100年間、それぞれのフェーズで、ミッションがあったと思います。
永井:そのときそのときの日本の課題に、向き合ってきたということですね。そして今は、国内外のお客さんを相手に、日本を観光立国にしていく課題に挑戦するということですね。その中でのJTBさんの立ち位置は、「ファシリテーターになる」ということでしょうか?
山下:JTBはハードを持つ会社でもなく、何か物を作っているわけでもありません。画期的な、誰も思いつかないアイデアを出してイノベーティブなことをやるというよりも、お互いを繋いだり、いいものを組み合わせて便利な仕組みにしたりして、ファシリテートしながら新しい価値を創造するということではないかと思います。
47都道府県に地域の支店があるので、地域の声をしっかり聞き、ライフスタイルなどの新しい提案をしていくことが大切です。全国各地域でデスティネーションマネジメントプロデューサーという人たちが動いてます。阿智村でも、JTB中部・松本支店にいる阿智村出身の女性が、阿智村の地域づくりの仕事をしています。阿智村は彼女の故郷なんですね。支店の社員は地元愛がありますし、地元のために人間関係をしっかり作っています。旅行の仕事をいただくのもその延長線上ですね。
永井:旅行会社としての役割が変わっていくなかで、収益の仕組みも変わっていきますね。
山下:収益源も当然変わっていきますよね。プロデュースフィーとか、コンサルティングフィーのような形もありますし、一緒に仕組みを作ってお客さまに来ていただくことで一緒に利益を生み出しましょうという形もある。地域の思いに合わせて、さまざまです。
永井:これからの地方創生に参考になるお話がたくさんあったと思います。どうもありがとうございました。
(撮影:風間仁一郎)
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