コカ・コーラ、関東4社統合だけでは不十分 人員削減は不可避か、一段のボトラー再編にも現実味

拡大
縮小

ボトラーは原材料抑制や物流の見直しなどの対策を講じてきたが、もはやそれだけではカバーできない段階に突入している。統合による一段の効率化を期して、4社は今夏、経営統合に向けた交渉を開始し、ほんの数カ月で話はまとまった。

全国のボトラーはどんどん集約

統合を進めるのは、関東の4社だけではない。今回の関東4社統合後に、9社となる全国のボトラーは、以前は20社近くも存在した。近年では09年、近畿コカ・コーラ、コカ・コーラウエストジャパン、三笠コカ・コーラの3社が統合し、コカ・コーラウエストに集約された。そのコカ・コーラウエストも13年3月、南九州コカ・コーラを完全子会社化する。

そもそも、50年以上前に始まった全世界共通の「コカ・コーラシステム」に限界が生じてきていることが、ボトラー再編の背中を押している。今回の関東4社統合に続く一段の合従連衡も将来的にはありうる話だ。

ボトラーは米コカ・コーラ本社とフランチャイズ契約を結び、販売を請け負っている。販売量によって一定の金額が米本社に還元される仕組みである。

米本社は50年前、日本でも低コストで素早くコカ・コーラ製品を広めるため、各地でフランチャイジーを募集した。地元の飲料・酒造メーカーなどが名乗りを上げたため、小規模ボトラーが日本全国に乱立するかたちとなった。当時は地域密着をウリに小規模な酒店との関係を深めていたが、現在は自動販売機、量販店、コンビニの比率が高まり、ボトラーが多数存在する必然性は薄れている。かえって、統合した方がスケールメリットによって合理的だ。

とはいえ、合併すれば収益が改善すると約束されるわけではない。コカ・コーラウエストは今12年12月期、再編効果よりも低価格化の影響の方が大きく営業減益を強いられている。「ボトラーは営業所や物流拠点などの集約による人員削減をはじめとした合理化に手をつけない限り、収益改善には限界がある」(大手証券アナリスト)という声まで出ている。新会社「コカ・コーライーストジャパン」にとって厳しい船出が待ち受けている。

島田 知穂 東洋経済 記者
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT