ウェンディーズCEOが語る、FK買収の真相 なぜファーストキッチンを買収するのか
そんな中で、長年縁があったサントリーHDの佐治信忠会長と「ファーストキッチンとウェンディーズで一緒に何かできないか」と話していた。そこで生まれてきたアイディアがコラボ店舗だ(下写真)。
コラボ店舗は、ファーストキッチンの顧客を失わずに、ウェンディーズの付加価値を生み出すことが課題だった。
店舗のデザインや、どのメニューを組み合わせるかを考えるために消費者調査を行った。店舗の運営方法については、両者の間で大きな違いはなく、店員の教育はしやすかった。
その後、2014年に新浪剛史さんが、サントリーHDの社長になって「選択と集中」という方針になった。コラボ店舗でよい成果が出たことから、サントリーHDに対してファーストキッチンの買収を提案した。
両ブランドは、実質ファンドの支配下に
――今回の買収は異例のスキームだ。投資ファンド、ロングリーチグループがウェンディーズを増資して、経営権を取得。その資金でウェンディーズがファーストキッチンの全株式を買い付ける。
ファーストキッチンの年商は約90億円。コラボ店はできても、ファーストキッチンを買う資金的な余裕はない。そのためには、投資してもらうパートナーが重要だ。
ロングリーチグループは2005年に、日本マクドナルドを創業した藤田家から株式を引き取った実績がある。ハンバーガービジネスや、フランチャイズビジネスにも理解がある。今回のディールは米ウェンディーズ本社との調整もある。同社のオーストラリア人トップは米国の事情について詳しいため、米本社と話を進める上でも心強かった。
サントリーはファーストキッチンがどうなるかに気を遣っていた。そういう意味でも、ファーストキッチンにとってシナジーがあるかが重要なポイントだ。そこで、今回はロングリーチが資金を提供し、ウェンディーズがファーストキッチンに投資するというユニークなストラクチャーになった。
――買収して、得られるメリットは何か
ウェンディーズとファーストキッチンのコラボ店をもっと増やすことができる。どんなかたちのコラボ店にしたら良いのか、さまざまな調査をした。ファーストキッチンの客層に加えて、ウェンディーズの客層をつかむように、付加価値を明確にしなければならない。
そのために、店舗の外観に加えて、メニュー政策でも良いところを組み合わせた。ウェンディーズの強みはハンバーガーにある。ランチもディナーでも、高単価な商品をそろえている。一方でファーストキッチンの強みは(パスタやデザートなど)バラエティに富んだ商品だ。
厨房のレイアウトや、サービス提供の方法など、さまざまなことを調整する必要があったが、同じファーストフードの仕組みを共有しており、両者のオペレーションは大きくは変わらない。
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