モス、社長を退く櫻田厚氏がすべてを語った 創業、ブランド確立、創業者の急逝、混乱…

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モスバーガーを40年超にわたって率いてきた櫻田家も引退の秒読みに入ってきた。果たして円滑な世代交代は行えるのか
日本発のハンバーガーチェーン、モスバーガー。店数こそマクドナルドの半分に過ぎないが、注文を受けてからの調理、野菜を重視した商品開発など、浮き沈みの激しい外食業界の中でも独特のブランド築き、多くのファンを惹きつけてきた。
運営会社であるモスフードサービスの社長を1998年から18年にわたって務めてきたのが、櫻田厚氏だ。厚氏は1972年に叔父である故・櫻田慧(さくらだ さとし)氏とともに創業に参画し、1号店からかかわってきた最後の創業世代といえる。
その厚氏も6月の株主総会後、社長を退任し、会長に専念する予定だ。「モスバーガーの象徴」と言われる櫻田家。社長退任は何を意味するのか、そしてモスの行方はどうなるのか。厚氏が取材に応じた。

モスのブランドは創業から10年で形成された

――モスバーガーは日本の外食業界の中でも独特のブランドを築いてきた。モスをどういう会社だととらえているか。

モスのブランド形成に貢献してきたのは、1番に商品、2番に特徴のある立地、3番目に独特のフランチャイズ(FC)の仕組みの3点だ。これらは1972年の創業から10年ぐらいで形成されたものだ。

創業当初から野菜にこだわってきた。当時は、今ほどは食材としてスポットライトを浴びていなかった。その後、健康や安心、安全などマーケティングのいろんな用語が知られるようになった時、「モスは美味しいだけではなく、野菜の洗浄方法も違うみたいだ」「モスの野菜はセントラルキッチンでなく、全部店で仕込んでいる」、「注文してから作るので手作り感がある」といったことが広まった。

衛生管理についても管理会社を早期に作った。だから「モスは観念的なものだけではなく、科学の部分も相当裏付けがある」、「モスは衛生管理、品質管理がきちんとしていて、さらに美味しい」ということに、時代がついてきたのではないか。

立地についても、「行きたくても場所がわからない、でもすごくハンバーガーのうまい店がある」ということが口コミで広がって、神秘性を帯びた。たとえば、新小岩に行ったけれど、モスの店舗が分からずに帰ってきたとか、皆が通りすぎるくらい悪い場所にある。

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