モス、社長を退く櫻田厚氏がすべてを語った 創業、ブランド確立、創業者の急逝、混乱…
――社長時代の18年をどう総括しているのか。店舗数は増えず、全店売上高もほぼ横ばいだった。
見方によって、何事にも「答え」はないと思う。世の中の変化からすると、生活のスタイルが明らかに変わってきた中で、できる限りアンテナを張って外れないように、軸をぶらさないようにきたことが、あまりアップダウンがないような結果を招いたのではないか。よってそれが凄いことだったのか、逆に再成長していないというネガティブな評価なのかというのは私自身がすることではない。
定量的に判断したら、最大時では1600近い店があったが、今は1400弱で、店舗数は減っている。オーナー数も減っているが、モスのブランドを再生産しようという人が固まってきた。どちらかというとこの18年は「えいっ」という本来の性格を押し殺して、あれ俺ってこんなに慎重かなと言うぐらいにやってきたほうが強い。よくいえば安定、悪く言うと成長の度合いが低かった。両方だ。
価格に見合った品質が支持される時代に
――本部の世代交代だけでなく、FCオーナーの世代交代も課題となっている。
そこは随分進んでいる。約10年前はオーナーの平均年齢が61歳ぐらいまでいっていたが、今は58歳になっている。今年はもっと若返る。7年ほど前から「次世代オーナー研修」というカリキュラムを進めている。昨年は22名と過去最多の受講者だった。
私よりもFCオーナーを知っている人はいない。「早く事業承継しなさい」という話をしていくのも私の役割だ。
もう1つ言っておかなくてはならないのは、私が18年前に社長になったときはオーナー数が690名いた。今は450名なので、200人以上の個人や法人は辞めたり、テイクオーバーした。「なんとなく経営をしているのでは困りますよ」と話をして、辞めてもらった人がたくさんいる。
――今後の成長戦略をどう考えているのか。
おかげさまでモスは知名度が上がり、「なんかモスっていい会社だね」と言ってもらえるブランドになっている。絶対にモスしか出せないような商品を生み出さなければいけない。2015年度の既存店売上高は107%と前年比で大きく伸びた。
Value for money(お値打ち感)という時代からValue for quality(価格に見合った品質)という時代に移行している。高客単価になってもそれを許容してもらえるという世の中の流れに、支持を得られる商品をうまく投入できたということではないか。
今後は地域の人口が増えることはないので、常に評判を作り、来店回数やリピーターの数を増やす、これはやっぱり必須項目だ。客単価はもともと高いので、上げることは今のところ考えていない。新しい商品だけではなく、既存商品のカスタマイズはすごく大事。注文を受けてから作れるという強みを活かし、お客様1人1人の要求に応えられるようにすることがモスの進化につながる。
(撮影:梅谷秀司)
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