好調すかいらーく、プレミアム後に狙う客層 郊外では「むさしの森珈琲」に手応え
「3000店の分母の店舗が、たった51店(の新規出店)でも、大きく収益を伸ばすことができる。結果として業界最高レベルの収益を実現することができた」。ファミリーレストラン大手・すかいらーくの谷真社長は、2月10日の決算説明会で力強く語った。同社の2015年12月期の連結業績(IFRS)は、売上高が3511億円(前期比3.3%増)、営業利益が278億円(同28.5%増)、当期利益が151億円(同59.5%増)で、過去最高益。2016年12月期も、営業利益予想は315億円と、続伸の見通しだ。
谷社長の発言通り、利益を下支えするのは、既存店売上高だ。10四半期連続で前年同期を上回り、2015年累計では2.6%増加した。中でも客単価は、高単価商品の投入で、継続的に上がっている。2015年については、主力業態の「ガスト」でフォアグラハンバーグ、「ステーキガスト」で塊肉、「ジョナサン」でカナダ産オマール海老など、プレミアム食材を使ったメニューを積極的に投入。谷社長は「プレミアムな素材を使ったメニューが、2015年の収益に貢献したのは、間違いない」と分析する。
2013年の後半から、継続的に取り組んできた既存店のリモデル(改装)も、奏功している。カフェ仕様のイスの導入、分煙化の徹底、2名席比率の増加など、店舗の快適性を高める改装を、2015年は276店で実施。前年比で売上高11億円増のインパクトがあったという。
高価格ロイホ、低価格サイゼリアに挟まれ
ただ、客単価を追い求める余り、若者や家族客など、低価格帯を好む層の離反が起きているのも事実だ。2015年累計で、客単価は3.3%伸びた一方、客数は0.7%落とした。外食業界は、「ロイヤルホスト」を運営するロイヤルホールディングスに代表される高価格路線と、「サイゼリヤ」に代表される低価格路線に二極化しつつある。
高単価路線のロイヤルホストが、2015年累計で4.6%客数を減らしたことに比べれば、悪くない数字だが、谷社長は「(客単価の追求は)2014年から徐々に効果が薄れている。客数が、前年を下回っている状況に変わりはなく、大変厳しい」と危機感を募らせる。
客単価追求に限界が見え始めている中、すかいらーくは2016年、客数増の戦略に舵を切る。手始めが2月末に実施する、主力であるガストのランチメニュー改定だ。「全ての顧客層を取り戻すのは難しい」(谷社長)と、ターゲットに据えるのは女性客。499円の日替わりランチなどの付け合わせに、生野菜を取り入れていく。静岡のランチ実験店では、客数が5~9%伸びたという。また、若いファミリー層を取り込むため、4月には客単価を下げた新たなガスト業態をオープンする。
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