スズキの燃費不正、どこまで「罪」といえるか

鈴木修会長、不正に「認識甘かった」と懺悔

一方、燃費については18日時点で「(惰行法との燃費の違いは)5%まで全然いっていない」(本田治副社長)と問題はないとしていた。実際にスズキが惰行法で再検証した結果、調査した車種においてはすべて従来の申請値(カタログ燃費値)を上回ったという。

中央で謝罪する鈴木修会長(記者撮影)

会見場では燃費不正が判明した軽4車種の生産・販売を停止している三菱自動車との比較で、スズキにも同様の行動を求める記者もいた。結果として、燃費値に影響がなかったため販売自粛や宣伝自粛について、修会長は「その考えはありませんね。はい」と述べた。

たしかに、三菱自動車が生産・販売を停止しているのは燃費値を過大に偽っていた車種のみで、惰行法を採用していなかった不正計測の車種は販売を継続している。三菱自動車の行動に倣うならば、スズキの判断は妥当なところだろう。

記者の見解としても、スズキがやったことは不正ではあるが、生産・販売の停止に値する罪とは考えていない。現実問題として、行政側にもスズキに課せる処分は事実上ほとんどない。注意や立入検査などはできるだろうが、今回の不正で型式指定の取り消しなど生産・販売停止とするような法規はないのだ。

もちろん何のおとがめもなしでいいと考えているわけではない。現在、国交省のタスクフォースで再発防止のため、抜き打ち調査や制裁金の制度化が検討されている。改革が進めば、こうした制度不備は解消されていくだろう。

惰行法は本当に正しいのか

三菱自動車とスズキで行われた一連の不正問題で感じた疑問がある。はたして惰行法は走行抵抗値を測る最適な方法なのだろうか――。

惰行法では、屋外で時速90キロから20キロまで惰性で走行する時間を計る。これにより、空気抵抗などを含めた車の走行抵抗値を測る手法だ。屋外で実施するため、風や気温などの外的影響を受ける。特に風の影響が大きいため、少なくとも往復3回の計測を行い、その平均値を求める。

開発段階の参考にするならともかく、正式な型式申請のためには一定の条件下で計測した値しか認められない。条件が悪ければ、4回、5回と行う必要がある。

一方、スズキが独自に行った「積み上げ法」なら風の影響はなく、温度など条件もそろえられる。ある意味、より厳密な値を採ることができる。

そもそも燃費試験(同じ試験で行われる排ガス試験も)は屋内の巨大なローラー上で行われる。この屋内試験に対し、現実と乖離しているという批判もある。その批判にも一理ある。だが、屋内試験を正当化する理由は、条件を可能な限り統一することで“物差し”としての信頼性を担保するためだ。屋内試験の条件設定の値の一つである走行抵抗値は、条件がばらつく屋外の惰行法で取られている。このことに矛盾はないのだろうか。

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