外国人投資家は日本株を見捨てていない 日経平均は「まさかの2万5000円超え」もある

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安倍政権は企業ガバナンス改革、株主重視の経営に道筋をつけた(写真:代表撮影/ZUMA Press/アフロ)

海外投資家からしばしば「アベノミクスは終わったか」「失敗か」と聞かれるようになった。私は「まだ始まっていない(笑)」と答えている。思うに、景気対策には運が必要で、構造改革には時間が必要だ。景気対策とは主に日銀のインフレ目標政策であり、構造改革の本丸は企業の「稼ぐ力」を向上させようとする新成長戦略だ。どちらもまだ政策としては道半ばだ。

景気対策の中心が金融政策という意味はこうだ。ケインズが活躍していた頃は「穴を掘って埋める」だけでも需要創出が効果的だったが、それは先進国でもダムなどのインフラが不十分だったから。その後、財政政策は政権の人気取りの道具になりやすくなったため、効果のみならず信頼感も低下した。80年代から景気対策の主役は選挙で選ばれない中央銀行の金融政策に移った。

景気対策は「人事を尽くして天命を待つ」状態に

主要国の中で唯一デフレに悩むことになった日本では、2000年代初めからインフレ目標政策をデフレ対策に使うことが検討されてきた。過去に例のない政策を軽々に行うことはためらわれた。だが、「デフレ」という過去とは違う未来(「インフレ」)を獲得しようとすれば、過去と異なる政策が必要だ。ケインズもそうだったように。

アベノミクスでは中央銀行の中立性を乗り越えて安倍首相の政策を支持する黒田総裁が選ばれて日銀の新政策を指導した。第一の矢と呼ばれたインフレ目標政策は、おカネを増やすことでインフレになりやすくする量的緩和の強化とインフレになる予想の披瀝という手順で開始された。

だが原油価格の下落があまりに早く、物価上昇が目に見えるには時間がかかったうえ、米国の消費の回復が遅れるという運の悪さがあった。世界の最終需要が回復しなければ、輸出が牽引する日本の景気回復は難しい。前例を捨てての金融政策は、マイナス金利の一部導入に進む羽目になった。だが、政策の本質が世界の需要回復までの時間稼ぎに過ぎないと考えてしまえば、金融政策は人事を尽くして天命を待つ状態にある。

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