反核からラフォーレまで。熱量のある広告作り 新世代リーダー 長嶋りかこ アートディレクター

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私は今、東京で生活しているのですが、毎日の生活の中でいろんな違和感があります。たとえば、私は子どもの頃、お風呂のお湯も薪を くべてわかしていました。だから、温度をあげるのにどれだけ時間がかかって、どのくらいの分量の薪が必要で、 どれだけ目の前の火が熱いかという、労力を体感していました。

でも今は、ボタンをピッと押すだけでお風呂が沸くし、温度調整も簡単にできます。労力が目に見えないからどんどんエネルギーを無駄にできてしまいます。でも、薪をくべてお湯を毎日沸かしていたら、その労力がわかっているからやっぱり無駄にできません。

もちろん、今の便利な世の中を否定している訳ではないんです。でも、効率化されることによって見えなくなってしまった「間」のことを、知らないままだと怖いという感覚があるんです。

そういうことを考えるうちに、人間の能力を生かしていくようなものづくりをしたほうがいいのではないかと思うようになりました。

日常で感じる「違和感」に価値がある

――今後はどのようなメッセージを発信していきたいと考えていますか?

デザインは「世界観」を作る仕事です。例えばそのややこしい手間のかかる「間」を魅力的なものとして世界観を見せる事ができると思うし、意識を変えることもできると思うんです。

日常で感じる「違和感」を大事にしています。生活していると、なんとなく良しとされているけれどこれは良くないのではないかとか、これはちょっと違うのではないかといった違和感を持つことがあると思います。

意識していないとそのような違和感はすぐになくなってしまいますが、それについて深く考えたり調べたりしていくと、そこに大事なものがかくれていることがあるんです。

だから、ちょっとした違和感を持ったときは、忘れないようにメモしています。常にそのような違和感をメモしておくことで、広告だったり、それ以外のものづくりにつながっていくこともあります。

今は、都市の生活で感じている違和感を様々な形で発信していきたいと思っているんです。作家だったら、伝えたいことがあったら文章を書いて伝えるのだと思います。でも、わたしはデザイナーなので、魅力的な世界観を作ることで、メッセージを言葉以上のものでより伝わりやすく伝えられるのではないかと思っているんです。

(撮影:梅谷秀司)

島 大輔 『会社四季報プロ500』編集長

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しま だいすけ / Daisuke Shima

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。総合電機メーカー、生活実用系出版社に勤務後、2006年に東洋経済新報社に入社。書籍編集部、『週刊東洋経済』編集部、会社四季報オンライン編集部を経て2017年10月から『会社四季報』編集部に所属。2021年4月より『会社四季報プロ500』編集長。

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