イオン、他社の不祥事を話題に誇示したこと 株主総会で岡田社長が熱弁、「中計」にも言及

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2015年に大幅改装したダイエーの赤羽店。「イオンフードスタイル」という新たな看板を併設した(記者撮影)

イオンの連結業績は、2016年2月期に4期ぶりの営業増益で着地するなど回復基調だ。不動産や金融、さらに食品スーパーやドラッグなどで買収効果があったことなどが大きい。ただ柱の総合スーパー(GMS)は減益でいまだ回復途上だ。

GMS中核子会社、イオンリテールの岡崎双一社長も今後のGMS改革について発言。「GMSはこれまで専門店にシェアを奪われてきた。今度は奪い返す」と強調したうえで、「足元では商品改革、売り方改革、人材強化などで粗利益率がほぼ全店で改善している。GMSが不振な理由は従来型のマスマーケットが小さくなっているからだ。その一方、先進的、高機能、芸術分野が大きくなっている。新しいマーケットの提供方法としてイオンスタイルという店舗に改装している最中だ。そこでは衣食住の壁を取り払い、テーマごとに提案していく。まだ発展途上だが、ぜひ期待してください」と述べると、株主からは大きな拍手が起きた。

昨年のような厳しい質問はなかった

昨年の株主総会は、3期連続の営業減益に陥ったことから厳しい質問も飛び出していたが、今年は終始穏やかに終了。株主自身が普段使っているイオン店舗やサービスへの質問や提案が多くを占めた一方、業績やガバナンスへの質問はほぼなかった。

岡田社長が株主に直接回答した質問は1つだけだった。「岡田社長から今後10年のビジョンを聞きたい」という質問に対して、岡田社長は「10年ビジョンはない。次の3カ年の内容は現在と相当大きく変わるものになる。それを準備している」と述べるにとどまった。

出席数は昨年より280人少ない1581人。時間は昨年とほぼ同じ2時間18分で終了。総会後には、社外取締役を7年務め今回退任する生田正治氏(元商船三井会長、元日本郵政公社総裁)が退任挨拶を行い、「イオンのガバナンス体制は日本の中で名実ともにトップクラス、断トツと確信している」と締めくくった。

イオンのガバナンスが強固であることを最後まで強調した形だが、GMS復活の航路はまだ見えていない。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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