なぜ日立は三菱重工を選んだのか 火力発電を統合、世界3強へ

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日立の中西社長(左)と三菱重工の大宮社長(右)は「信頼関係」を強調

中西社長は会見後、「GEやシーメンスのトップとも、さまざまな方面で話をしている。彼らと提携する選択肢もあったが、彼らは覇権的で(人員を)容赦なく切り捨てることもある」と漏らした。海外大手にのみ込まれるより、近しい関係の三菱重工と手を組んで一定の存在感を確保する道を選んだようだ。

目標は世界3強も、会社ごと経営統合は否定

一方、三菱重工は世界的に見ても、大型ガスタービンで高いシェアを握る。GEとシーメンスがそれぞれシェア3割を占め、三菱重工は1割強で後を追う。ガスタービンを柱とする原動機事業の部門営業利益は923億円(12年3月期)。三菱重工のグループ営業利益1119億円の8割超を占める屋台骨であり、日立と比べても高い収益力を誇る。

しかし、三菱重工では中小型のガスタービンの開発までは手が回っていない。大型を持たずに中小型に力を入れる日立との補完関係がぴたりとはまった。「フルラインナップになったことで、世界3強の一角に早くなりたい」と、三菱重工の大宮英明社長は力を込める。

会見では、原発事業などでも今後提携を模索するとしたが、日立はGE、三菱重工は仏アレバと提携関係にある。実現には相当の時間を要することになりそうだ。昨年に浮上した両社の経営統合については、両社長とも「まったくない」と口をそろえて否定した。

(撮影:山内 信也)

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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