サムスンがスマホ事業で痛みを伴う戦略転換 製品ラインナップを縮小

拡大
縮小

「S7」の売り上げは予想を上回り、市場投入から1年の出荷台数は過去最高になる可能性がある。

ただサムスンは依然として、業績改善が持続可能ということや、売上高の伸びにつながる革新性に富む製品を開発しているということを投資家に示す必要がある。一部では、このところの業績回復はコスト削減やアップルの低迷を受けた結果だとの見方もある。

最上位モデルに注力

製品ラインナップの縮小も過去との決別を示している。サムスンはあらゆる需要に対応しようとさまざまな製品を開発してきたが、市場の成長が低迷すると、コスト効率は低下した。

人気の低いモデルを廃止するとともに、同じ部品を使うモデルを増やすなどした。調査会社カウンターポイントは、サムスンがラインナップ全体の3分の1近くを削減したと指摘する。

ラインナップ縮小とモデル刷新も効果をみせ、インドなどの大規模市場では業績回復につながった。同社インド部門の幹部は「顧客にとって端末の多さが複雑だとの見方があった」と述べた。

一方、第1・四半期は堅調だったものの、サムスンの今後の見通しについてアナリストは慎重な姿勢を崩していない。調査会社ガートナーは今年の世界スマホ販売の伸びが7%に鈍化すると予想している。

またサムスンは、世界最大規模のスマホ市場となる中国で業績を回復できていない。ストラテジー・アナリティクスによると、サムスンの中国市場のシェアは7%で、ファーウェイ、シャオミ、オッポなどに続いて6位となっている。

前出のKim氏は、現在は600ドル以上の最上位モデルのスマホに焦点を当てていると指摘。「この市場にはまだ成長の余地がある。革新性が求められており、非常に大規模な設備投資が必要とされている」との考えを示した。

 

(Se Young Lee記者 翻訳:本田ももこ 編集:加藤京子)

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