電子部品を襲う「円高」「スマホ減速」の二重苦 泣きっ面に蜂、どう戦略転換するのか
トヨタ自動車が実に5年ぶりの営業大幅減益計画を公表するなど、産業界に大きな影響をもたらしている円高。その影響は電子部品業界も直撃しそうだ。
業界大手、村田製作所の2015年度決算は、営業益が前期比28%増の2754億円。TDKも前期比28%増の934億円と好調だった。にもかかわらず、今2016年度は村田製作所が同13%、TDKも同20%の減益に沈む見通しだ。
iPhoneの減速が足を引っ張った
電子部品業界は売上高の大半を輸出が占める。各社ともに今期の想定レートは1ドル=110円。2015年度の平均レートから10円の円高を想定する。村田製作所の場合、10円円高に振れることで、営業益が360億円押し下げられる計算だ。そのほか、多くの企業で数百億円規模のマイナス要因となる。アルプス電気や日東電工も軒並み大幅減益を見込む。
京セラの山口悟郎社長は「輸出比率が高く、円高は押し下げ要因になる。今期は非常に大きなインパクトをはねのけなければならない」と気を引き締める。
業界を襲う逆風は円高だけではない。実需も落ち込んでいる。JEITA(電子情報技術産業協会)によると、2015年以降、電子部品の月ごとの出荷額は前年同期を10%以上上回って推移していた。それが秋以降、急速に落ち込んでいるのだ。11月に伸びは6.9%に鈍化。その後、12月に5.6%減、2016年1月は6.9%減、2月も1.8%減とマイナス圏に沈んでいる。