サムスンがスマホ事業で痛みを伴う戦略転換 製品ラインナップを縮小
2013年にピークを迎えたサムスン携帯事業の利益はその後大幅減少し、変化を続ける市場に対応できない同社の姿を浮き彫りにした。低価格帯の端末は中国メーカーの端末に比べて割高で魅力に欠け、2014年モデルの「ギャラクシーS」は失敗作となった。
これを受けて幹部の人員削減が行われ、競合する米アップル<AAPL.O>、中国の華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]、小米科技(シャオミ)[XTC.UL]が市場シェアを拡大するなか、サムスンが業績を回復できない可能性に対する懸念が投資家の間で広がった。
サムスンは全社規模の広範囲な再編は実施しなかった。その代わりに2年前、すべてのニーズに対応できる端末の開発からスケールメリット(規模の経済)に重点を置く製品ラインナップへの戦略転換を含む事業の見直しに着手した。
カメラ機能で苦悩
今年発表した「ギャラクシーS7」のカメラのピクセル数をめぐり、暗い場所でもよい画質で撮影が可能でオートフォーカス機能が改善できる12メガピクセルか、従来の16メガピクセルのままにするかどうか、同社幹部らは決断するのに長い時間を要した。最終的には12メガピクセルを採用。ピクセル数の多さにこだわるスマホ業界では珍しく、従来モデルからの減少を選んだ。
これまでは主力製品の性能は最高水準だと強調してきたサムスンにとって、ピクセル数の減少は方針の転換を意味したが、この転換は奏功した。米国で「S7」を購入した顧客を対象とした調査では、カメラの質が主要なセールスポイントだとの回答の割合は半数を超えた。