役場の人間に確認したところ、町長が公務で行くことに関して特に上限は設けていない…ということだったので、再度藤原さんに確認すると「ぐっちーよ、いろいろな意味でご苦労をかけている町民にそこまで負担させる気は、俺はない。もし本当にオガールが儲かったらせいぜい返してもらえばいいことだから」とおっしゃるわけです。
舛添都知事は「世界の大都市である東京都知事と人口3万4000人しかいない岩手の田舎町の紫波町長を一緒にするな!」とおっしゃるのでしょうか。しかし私から見たら、町民・都民から信託を受けた首長という点では何も違いがありません。
違いがあるのは、それぞれの町民や市民に対する、リスペクトの問題だと思います。いくら公務であっても、その時は「実際どれだけのメリットがあるかは、やってみなければわからない」オガールプロジェクトだったわけで、それに関する町民の負担をできるだけ少なくしたいとお考えになった藤原前町長。一方、フランスだのアメリカだの言って、オガールのような具体的なプロジェクトも何もないにも関わらず、それを都民負担で平気で贅沢三昧して帰ってくる舛添都知事。
みなさんなら、どちらの首長を選びますか? これはルールにのっとっているからいい、悪いの問題ではありません。要するに、その人間の品性の問題に尽きるわけです。その意味で、こんないやしい品性の人を都知事に選んでしまった東京都民は恥を知るべき・・・であります。
「東京ドーム280個分」に騙されるな
話は変わります。我々のような金融マンやエコノミストと言われる人種は統計・数字をよく使い、その数字の見せ方によって人を騙すのが商売です。いや、マジですから(笑)。数字や統計を出すといかにも客観的なように見えますが、そこには「人を騙すテクニック」が満載されていることは覚えておかれた方がよろしいでしょう。
経済記事ではないですが、先日こんな記事を見かけました。
米国防総省は13日、中国の軍事力を分析した年次報告書を公表し、中国が南シナ海で13平方キロ以上の埋め立てをしたことを明らかにした。東京ドーム約280個分の広さに相当し、1年間で6倍以上となった。軍事拠点化を進めており、「紛争や危機の際に米国や他の関係国を打倒する能力を高めている」と危機感を募らせている。(朝日新聞デジタル5月14日)
ここで問題になるのはこの東京ドーム280個分という表現ですね。
これは、おそらく広いぞ、大変な面積を埋め立てているぞ、ということを強調するために使ったある種の比喩、またはディメンション(寸法)と言っていいでしょう。東京ドーム280個分なんてそりゃとんでもなくでかいな、という方向に読者を誘導していると言えます。
しかしこれではフェアではありません。この13平方キロは東京ドームで測るのが適切なのかどうかなのです。
これをこう表現することも可能です。
南シナ海の13平方キロは、ほぼ東京都港区や大阪市に匹敵する面積であるが、沖縄にある米軍基地の面積は230平方キロである。
どうですか? 相当印象が変わりますでしょ? 沖縄の米軍基地の10分の1にも満たない程度の面積なんだ…と思えば実はそんなに大したことないな、と感じる読者はたくさんおられるのではないでしょうか?
こういうトリックを使うのがメディアや金融マンの得意技なのです。
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