北海道の鉄道再生はフランス方式に学べ! 公共交通維持を民間だけに頼っていいのか?
日本の鉄道を経営形態別に大別すると、旧国鉄の流れをくむJR、純粋な民間企業として発展してきた私鉄、地方自治体が運営する公営交通、官民両者が共同出資した第3セクターとなる。
厳密には、JRのうち株式上場を果たした東日本・東海・西日本は純粋な民間企業であり、独立行政法人が株式を100%保有するその他のJRとは経営状況が異なる。また、車両の運行と線路や駅などのインフラ管理を別組織で行う、いわゆる上下分離方式を導入している線も多い。
では海外の鉄道はどうか。欧州に限れば、国有鉄道の民営化と上下分離が進んでいる。たとえばドイツでは1994年、旧東西ドイツ鉄道統合を機に旅客輸送、貨物輸送、インフラ管理の3部門に分割され、JRに近い形態の企業が運営している。
フランスは3セクから国有へ
その中で例外的なのがフランスだ。それまで存在していた大手私鉄を統合することでフランス国鉄(SNCF)が設立されたのは1938年だが、この時の資本比率は政府51%、元の会社が49%という、第3セクターに近い状況だった。しかしその後、1982年に国内交通基本法(LOTI)が制定されると、翌年政府100%出資になっている。
LOTIは、国民の誰もが容易に、低コストで、快適に、社会負担を増加させずに移動できる権利を認めた。世界で初めて移動権あるいは交通権を制定し、自動車優先社会からの脱却を明言したのである。これを契機にフランスではLRTの建設ラッシュが起こり、サイクルシェアリングも普及していった。SNCFの国有化も同じ流れだ。
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