北海道の鉄道再生はフランス方式に学べ! 公共交通維持を民間だけに頼っていいのか?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

こうした状況を考えると、私鉄の生きる場所はないと思うかもしれない。しかしフランスにも私鉄と呼ばれる鉄道はある。そのひとつ、プロヴァンス・アルプ・コート・ダジュール地域圏にある観光都市ニースから、山間地にあるディーニュ・レ・バンまで151kmを走る全線単線非電化の路線、プロヴァンス鉄道を訪ねた。

1891年に最初の区間が開業し、全面開通は1911年と、1世紀以上の歴史を持つプロヴァンス鉄道の特徴のひとつは、ニースから約24kmの途中駅プラン・デュ・ヴァールまでは地域輸送、それ以降ディーニュ・レ・バンまでの約127kmは観光輸送と、性格が分かれていることだ。ニースからの所要時間は、プラン・デュ・ヴァールが38分、ディーニュ・レ・バンが3時間30分となる。

プロヴァンス鉄道の二面性は本数にも表れている。ニースから約13kmの場所にあるコロマール・ラ・マンダまでは26往復、ディーニュ・レ・バンまでは11往復の列車があるのに対して、全線を走破する列車は4往復しかない。筆者が乗った日本の路線では、JR北海道の札沼線(学園都市線)を思わせる。

起点は観光都市ニース

画像を拡大
起点のニースCP駅はモダンなデザイン
画像を拡大
かつての旧ニース南駅舎は図書館として使われている

起点のニースCP(CPはプロヴァンス鉄道の頭文字)駅は、国鉄ニース・ヴィル駅の北約500mの場所にある。LRTではニース・ヴィル駅近くのガール・ティエール停留場の次、リベラシオン停留場から近い。

モダンなデザインの駅舎は1991年に完成した。それまでは200mほど東、つまりLRTの線路沿いにあった。1892年に建てられた旧駅舎は現在も残されており、図書館として稼働中だ。かつてホームがあった場所は再開発中で、映画館、スポーツセンター、ショップ、レストラン、住宅などを擁する複合施設の建設が進んでいる。

乗車券を買って奥に進むと2面3線のホームがある。軌間は国鉄が採用する1435mmの標準軌ではなく、日本のJR在来線が使う1067mmの狭軌よりさらに狭い、ちょうど1000mmの通称メーターゲージだ。曲線半径を小さく、建設費用を抑えるために採用したという。

次ページニースから山岳地帯へ
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事