欧州鉄道、8割引もある「超割引運賃」の裏側 予約変更やキャンセルは一切できないが…

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イギリスと欧州大陸を結ぶユーロスター(新型車両)。運賃は一定ではなく、始発や最終は割引になる

「イールドマネジメント」という言葉を聞いたことがあるだろうか。言葉としては、一般的には聞き慣れない単語かもしれないが、実は私たちの日常生活において、身近にあるごくありふれたシステムだ。

出張へ出かけて、滞在先のホテルに宿泊するとしよう。出張の目的がメッセでの展示会で、その宿泊するホテルがメッセ会場の至近であれば、おそらく相当高額な宿泊料金となることだろう。しかし、そのホテルを催し物のない週末に利用すれば、まったく同じ部屋なのに展示会開催時の6~7割、いや下手をしたら半額以下になっているかもしれない。

メッセ会場でイベントが開催されていれば、どんなに高額であっても、仕事で来る人はそのホテルを利用するだろうし、逆にイベントが開催されない週末などは、メッセ会場以外に観光地もないような場所であれば、集客するのが困難になる。ホテル側にとって、空室は1円の利益にもならないが、原価割れでも部屋が埋まれば、わずかでも利益を生み出すことになる。

需要に応じて価格が変動

ホテルの宿泊料金は、ほとんどが需給に応じて料金が変動するシステムで管理されている

イールドマネジメントとは、こうした需要と供給に応じて、料金を変動させるシステムを言う。ホテルの宿泊料金は、国内外のほぼすべてがイールドマネジメントによって管理されている、といっても過言ではない。

実際、ドイツのニュルンベルクで開催された見本市へ取材で訪れた際、日本のビジネスホテル並みの狭い部屋が、年末年始の高級温泉旅館並みの価格で売り出されていて、とても宿泊することができず、100キロ以上離れた町から特急列車で「通勤」することになった。電車賃+特急料金を払っても足りない程の高額だった…といえば、如何に高額だったかがご理解頂けると思う。

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