欧州鉄道、8割引もある「超割引運賃」の裏側 予約変更やキャンセルは一切できないが…

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航空業界は運賃設定にイールドマネジメントを採用している

交通機関では、航空業界がいち早くイールドマネジメントを採用している。日系航空会社でも、様々な種類の割引運賃が設定されており、特に「早期購入割引」は、どの航空会社でも設定されていて、旅行へ行く際に早めに購入すれば、非常にお得な値段で購入することが可能だ。

その一方で、JRを含む日本の鉄道は、全て定額運賃となっていて、往復乗車や学生割引など、特定の条件を満たした割引運賃や特殊な企画商品を除いて、乗車券の金額は常に一定だ。

しかし現在、ヨーロッパの鉄道ではイールドマネジメントが一般的となっており、インターネットで検索をすると、実に様々な種類の乗車券が表示される。しかも、割引価格が普通運賃の1/5以下ということもあり、ちょっと驚いてしまう。もちろん、安い運賃にはからくりがあって、最安値の運賃はたいていの場合、予約の変更やキャンセルは一切不可という厳しい制限が付いており、その一方で普通運賃の場合は、予約変更可能、キャンセルした場合も全額返金と、条件が緩く設定されている。

レジャー目的で、行き先も時間もその列車以外に選択の余地はない、というのであれば、この最安値運賃を早めに購入すれば、非常に安く旅をすることができるし、仕事でいつスケジュールが変わるか分からないビジネスマンならば、普通運賃を支払えばいつでも変更、払い戻しができるというわけだ。

割引の座席数は限られている

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イギリスの長距離列車内。座席の後ろに差し込んであるのは予約席を示す札だ

このイールドマネジメントの価格設定のからくりは、どうなっているのだろうか。もちろん、早く買ったからと言って、全てが安い金額で買えるわけではなく、その割引価格で設定されている部屋や席などは、常に限られた数しかない。

例えば500席が、2か月前の乗車券発売日に売りに出されたとする。通常は、少なくとも半分の250席は普通運賃で設定され、残りの250席のうち、200席は少額の変更手数料を払えば予約変更が可能な、少しだけ割引された運賃、残りの50席が予約変更・取り消し不可の超割引運賃、といった形で配分される(あくまで一例で、もちろん会社によってその配分や料金設定、条件などは異なる)。割引運賃に設定されている50席は、全て売れた段階で終了となり、インターネット上の予約画面からは消え、残っている別の運賃のみが表示される。

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