日経平均はサプライズ演出でどこまで戻るか 消費増税先送り、財政出動は「ほぼ確定的」

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一方で、企業業績予想をベースにした適正レベルも、おそらくこの水準前後にあるものと考えられる。また企業収益を左右する為替についても、ドル円相場で一度105円台まで円高が進行したことから、当面は、一定の達成感がある。

要は目ぼしい材料がないことから、株価は狭いレンジでの推移を強いられることになる。サミット前後に政策の明確な方向性が出てきた段階で、市場は次の方向性を探ることになるのだろう。

「日経平均の戻りは1万7500円が精いっぱい」の根拠

今の段階から、読者の皆様はシミュレーションをしていてもいいかもしれない。すなわち、もし、政策導入や消費増税先送り・衆院解散で株価が上昇したとしても、筆者は、その上値の限界水準は1万7500円程度だと考えている。

というのも、やはり為替が影響しているからだ。アベノミクス相場の開始以来のドル円と日経平均株価の相関からは、1万7500円の日経平均株価と115円のドル円がほぼ符合する。今回はここまで戻せるかどうか。

つまり、株価が一時的に1万7500円に近付いたとしても、ドル円は115円までは戻せないと見るのが自然ではないか。とすると、株価と為替では「1万6900円と112円程度の組み合わせ」のほうがより現実的である。もし、この水準を超えてきたら、「オーバーシュート」とみなし、「戻り売り」が賢明ということになる。

筆者は、この欄で何度も書いてきたように、ドル円が今後数年間で大きく下落すると見ている。そのため、いずれのシナリオでも日本株の戻りは限定的との見方を変える理由はないと考えている。
 

江守 哲 コモディティ・ストラテジスト

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えもり てつ / Tetsu Emori

1990年慶應義塾大学商学部卒業後、住友商事入社。2000年に三井物産フューチャーズ移籍、「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」としてコモディティ市場分析および投資戦略の立案を行う。2007年にアストマックスのチーフファンドマネージャーに就任。2015年に「エモリキャピタルマネジメント」を設立。会員制オンラインサロン「EMORI CLUB」と共に市場分析や投資戦略情報の発信を行っている。2020年に「エフプロ」の監修者に就任。主な著書に「金を買え 米国株バブル経済の終わりの始まり」(2020年プレジデント社)。

 

 

 

 

 

 

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