日経平均はサプライズ演出でどこまで戻るか

消費増税先送り、財政出動は「ほぼ確定的」

しかし、そのように素直に捉えてはいけないのが、政治と金融の世界である。金融の世界で言えば、黒田東彦・日銀総裁の発言と行動を振り返れば、容易に理解できるはずだ。

黒田総裁は「これまで金融政策の導入に当たって、サプライズを狙ったことはない」としているが、この発言をまともに捉える金融関係者は皆無である。実際、マイナス金利導入時についても「検討したことがない」と言明していたにもかかわらず、その数日後の金融政策決定会合で初のマイナス金利導入を決定し、市場を大いに驚かせた。

ただ、その後の市場の反応には、黒田総裁が驚かされたはずだ。つまり、マイナス金利の導入で円安・株安に向かうと目論んでいた政府・日銀の思惑とは間逆の「円高・株安」が進行したからである。これは、伝統的な経済学の教科書に基づいた金融政策が、現在の経済構造や市場に必ずしも好影響をもたらさないことがわかった瞬間でもあった。

マーケットは「サプライズ演出濃厚」で動きにくい

「サプライズ政策」を否定しながら、実際は数々のサプライズ政策を演出してきたように見える黒田総裁だが、2013年春に「2年程度で物価上昇率2%を達成する」といっていたにもかかわらず、すでに3年が経過した。

ひとことでいえば、市場の期待に働きかける政策は限界を向かえており、いよいよ実態を伴う政策への移行が不可欠になっているわけだ。それが、安倍首相が目論む「先進国を巻き込んでの財政出動」なのだろう。しかし、報じられているように、各国の事情があまりに異なり、サミットでの財政出動に関する合意はかなり厳しい情勢だ。特にドイツの消極的な姿勢が鮮明であり、現在のところ安倍首相の思惑通りに事が運ぶ可能性は低いだろう。

結局、最後の手段として、衆議院の解散と消費増税先送りをパッケージで発表し、無理にでもサプライズを演出することになるのではないか。これまでの政府・日銀の方法論を理解していれば、このような結論になっても、むしろ驚きのほうが少ない。

現状は、すでに「少なくとも5月26・27日のサミット前後には財政出動がある」と見る市場関係者が多いため、「規模や実行可能性を見よう」ということになり、動きづらい状況が続きそうだ。日経平均株価を見ても、1万6500円をはさんで上下500円のレンジを形成しつつあるようだ。

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