掃除機のダイソン、なぜドライヤーを開発? 「スーパーソニック」にかける熱い思い
この市場には60年以上イノベーションがなかった――。そう語るのは英国人のジェームズ・ダイソン(68)。紙パックが不要で、吸引力が落ちない掃除機で一世を風靡した、ダイソン社の創業者だ。
まったく新しいヘアドライヤー
そのダイソン社が4月末、まったく新しいヘアドライヤーを発表した。「信じられないくらいたくさんの人たちが、毎日この奇妙で、恐ろしく非効率的な機械を使って時間を無駄にし、髪を傷めている」とダイソンは言う。「これを何とかしないといけない。いや、何とかできるはずだと思ったんだ」。
スニーカーを履き、コバルトブルーのメガネをかけたダイソンは、元来エンジニアで、プロダクトデザイナーでもある。「4年で100件の特許発明を生み、600個のプロトタイプを作った結果、ようやくその答えを見つけた気がする」。ダイソンはそう語ると、「ダイソン・スーパーソニック」を誇らしげに手に取った。
横から見ると、とんかちのような形をしたそのドライヤーは、ヘッド部分がドーナツのように筒状になっている。ピンクと黒の色のコントラストが鮮やかだ。それは多くの人が考えたこともない問題、すなわち「もっといいヘアドライヤーは作れないのか」という問いに、ダイソンが出した答えだ。