幸福度をはかる経済学 

ブル-ノ・S・フライ著/白石小百合訳 

評者 河野龍太郎 BNPパリバ証券経済調査本部長

幸福は人生最大の目標である。幸福追求のために、どのような方策を取ればよいか。ただ、その前に幸福の決定要因を把握することが必要である。たとえば、結婚すると幸福になるというが、結婚によって幸福になるのか、幸福な人が結婚するのか。生活満足度など主観的幸福度を測定することで、因果関係を定量的に分析できる。

本書は、経済学の新領域である幸福の経済学について、世界的第一人者が研究成果や政策的含意を論じたものである。

伝統的に経済学では、効用そのものは主観的なもので直接測定できないし、すべきでもないと考え、代理変数として、完全ではないものの所得に注目してきた。所得が継続的に増加すれば消費水準が向上し、効用も高まると考えられるためである。

しかし、幸福のパラドックスとして知られるように、1人当たり所得が年1万ドル前後を超えると、所得と幸福度の相関関係は大幅に低下する。所得増加がもたらす豊かな生活に人はすぐに適応し、効用が長続きしないのである。また、幸福度を評価する際、周りの人と比較することも大きく影響している。所得向上は重要だが、それだけでは幸福を追求できない。

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