自動車メーカーは、なぜSUVに殺到するのか

中国や欧州系メーカーも続々とSUVに参入

都市部で利用することを想定し、走破性よりデザイン性やファッション性で魅力を訴求。従来のSUVがはしご状のラダーフレームを採用した頑丈なシャシーを使うのに比べ、クロスオーバータイプは乗用車と同じようにボディとシャシーが一体になったモノコック構造を採用している。

サイズも小型で、より快適な乗り心地を追求したことが消費者に受け入れられ、世界各国で販売を伸ばしている。

国内外のメーカーがSUVに殺到

国内のSUV市場で2年連続トップだったホンダ「ヴェゼル」(撮影:尾形文繁)

ハイブリッドモデルがあり、値頃な小型SUVは国内でも人気が高い。ホンダが2013年12月に発売したヴェゼルは、2年連続で国内SUVセグメントの新車販売で首位を獲得。

トヨタも「プリウス」ベースのクロスオーバーSUV「CH-R」を年内にも発売する見通しだ。

SUVのラインナップを増やしているのは海外の高級車メーカーも同じだ。メルセデス・ベンツやBMW、アウディはもちろん、マセラティは今年になって初のSUV「レヴァンテ」を投入。ベントレーやロールスロイスもクロスオーバーSUVの投入を予定している。

ポルシェは新型SUV「マカン」と「カイエン」が好調で、VWグループが排ガス不正問題に揺れる中、2015年の販売台数は22万台(前年比19%増)と、過去最高を記録した。

ただ、懸念材料もある。セダンやハッチバックに比べて、SUVは燃費性能でやや劣っている。現状の原油安がいつまでも続く保証はない。またメーカー各社がこぞってSUVを投入すれば、差別化は難しくなっていく。

次世代のSUV競争を見越せば、クロスオーバーを投入すれば勝てる時代は終わりに近づいている。IHSオートモーティブの川野義昭アナリストは、「自動ブレーキなどの自動運転技術やプラグインハイブリッドなど、プラスアルファの要素があるかどうかが、差別化を図るカギ」と指摘する。

世界の自動車メーカーが熱狂するSUVブームはいつまで続くのか。

「週刊東洋経済」5月21日号<16日発売>「ニュース最前線03」を転載)

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