中小調剤薬局”身売り”続出のウラ事情 潜在候補は全国1万店とも

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ただし、2年後の診療報酬改定と消費税アップによって、薬剤費と調剤報酬の総額抑制は年々厳しさを増すことは確実だ。いよいよ体力のない薬局チェーンは、存続が危ぶまれる厳しい状況に追い込まれるだろう。そのころには、調剤薬局業界の身売り合戦は、勝ち組と負け組の体力差が明確となっていて、M&Aレースも終盤なっているだろう。「売り手優位から買い手優位へ」と叩き合いが起こる可能性がある。

上場チェーンもあぐらはかけない

もっとも、増収増益で連続最高業績を更新中の上場クラスの調剤チェーンも、数年後には、厳しい収益環境の下で、現状のような好業績にあぐらをかいた“安住”は保証されていない。中小業者の奪い合いが一巡したあとに待ち受けるのは、大手中堅チェーン同士のサバイバル戦争となりかねない。

大小問わず調剤薬局チェーンは、限られた商圏での処方箋の争奪に打ち勝つしか生き残りの方策はない。カギは、店頭でのサービス向上によるリピーター獲得と、総合的なブランド力の向上への積み重ねで、1つ1つの店舗が、地道に処方箋枚数を安定して増やし続けられるかどうかだ。

(タイトル下写真はイメージで本文とは関係ありません)

古庄 英一 東洋経済 記者

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ふるしょう えいいち / Eiichi Furusho

2000年以降、株式マーケット関連の雑誌編集に携わり、『会社四季報』の英語版『JAPAN COMPANY HANDBOOK』、『株式ウイークリー』の各編集長などを歴任。

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