中小調剤薬局”身売り”続出のウラ事情

潜在候補は全国1万店とも

もちろん、中小薬局のなかには、自社の先行きに強気で、自力出店やドラッグストア化で業容を拡大することに意欲的なオーナー経営者は数多い。こうした経営者は、人口が密集し、新規開業クリニックが多い大都市圏で多店舗化し、事業家として成功を収めている。

そもそも中小薬局の経営者は、必ずしも薬剤師とは限らない。ただ、薬局のおおよそ半分は、息子か娘が薬剤師で、そのまま跡を継がせたいと考えているという。

一般的に、調剤薬局の経営者は、地元の名士でプライドが高く、買収されても、そのまま雇用も守るところとの資本提携を望んでいる。買収した矢先に経営者を追い出すなど厳しく当たるところは、敬遠されており、そうした買い手側の業者の噂は広まっている。

よって、上場クラスの調剤薬局チェーンがM&Aを提案する場合、結局は、オーナーや社員に気を遣って、経営状態が悪くても、高い値段で買って、のれん償却に加えて、買収後にテコ入れ資金という余分な出費をしてしまう。つまり、経営効率の悪いところを、単に傘下に置いただけだと、結局はグループ全体の採算の足を引っ張る“お荷物”を背負い込むことになってしまうのだ。

売り手優位から買い手優位の叩き合いの可能性

いずれにせよ、薬局のユーザーである一般市民にとって、“身売り”は「コップの中の嵐」にすぎない。つまり、調剤薬局の経営者が誰に置き換わろうと、膨張する国民の薬剤費負担の軽減など保険調剤システムの効率化に結びつく展開は、今の時点で見えてこないからだ。

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