太陽電池と類似、中国勢に崩されたコエンザイム 三菱ガス化学が撤退
太陽電池市場で世界トップを競っていたドイツのQセルズが経営破綻したのは今年4月。経営危機に陥っているシャープをめぐっても、太陽電池事業の売却が取りざたされている。太陽電池メーカーだけでなく関連する部材を供給する企業も苦戦が目立つ。
太陽電池関連メーカーが苦悶している最大の要因は供給過剰による価格の下落。そしてそれを招いたのが中国勢である。複数の企業が次々と参入し、供給量を拡大。価格競争を仕掛けた。
これと同じ構図が、ある健康食品原料でも起きた。人間の生命活動に必要な物質として、すべての細胞に存在する補酵素。「コエンザイムQ10」がそれだ。体内でつくられ普段の食事からも摂取できるが、体内に存在する量は20代をピークに減少する。医薬品や健康食品の原料に使われている。
この分野で国内大手である三菱ガス化学は10月2日、コエンザイムQ10事業から撤退すると発表した。新潟工場(新潟市北区)における生産を2013年3月末までに停止する。三菱ガス化学がコエンザイムQ10に参入したのは1980年。30年以上の歴史に幕を下ろす背景には、世界的な供給過剰がある。
コエンザイムQ10はもともとは心臓病の治療薬向けとしてスタートした。ところが2000年代に入って、サプリメントなどの健康食品向けで一般の消費者でも買えるようになった。老化防止や美容に効果があるという触れ込みなどからブームが到来。日本国内だけでなく米国など海外でも需要が広がり、三菱ガス化学は06年に年産能力を70tとそれまでから30t上積みした。