中小調剤薬局”身売り”続出のウラ事情 潜在候補は全国1万店とも
調剤薬局は、アインファーマシーズや日本調剤、クオールなど上場大手クラスから、”パパママ薬局”と呼ばれる家業経営まで規模はさまざま。全国に約5.3万店と、コンビニエンスストアより多い日本で最大の店舗運営を行う業態として知られている。
中堅薬局チェーンでM&Aの責任者を務める役員は、「おおよそ半分の2万店強は後継者が見当たらず廃業か、身売りの選択肢に迫られている。ただし、処方箋枚数が1日30枚という低さだと論外で、買値がつくかどうか疑わしい。しかし、実態不明の薬局はいっぱいあって、おそらく1万店はM&Aの対象となりうるだろう」と話す。
中堅クラスの買収の検討対象になりうるのは、年商が5億~10億円、店舗数5~6店、従業員40人程度の地場チェーン。薬剤師の平均年齢が若ければ理想的だ。全国におよそ2000社程度が存在すると推定される。
実際に案件の仲介を行う日本M&Aセンターによると、「薬剤師の質や顧客層など事業基盤がしっかりとしたところは、高い値段で必ずといって言いほど買収がうまく成立する。こうした状況はここ2~3年がピークだろう」(渡部恒郎ディールマネジャー)と予想する。
採算の足引っ張る“お荷物”背負うリスク
調剤市場は、医薬分業や後発薬推進など医療保険制度の改革を追い風に、市場規模がこの10年間で倍増し、6兆円を超える規模に膨らんだ。ところが、さすがに右肩上がりの市場は、ピークを打ったようだ。地域によっては、オーバーストア状態となっており、狭いエリア内で客を奪い合う構図が少しずつ鮮明となってきた。
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