シャープの失敗が映すニッポン電機の急所 【短期集中連載】冨山和彦氏に聞く(第1回)

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ただし、暗黙知化は進化していく世界だから、これはこれでやっていかないといけない。標準化した技術はだんだんパワーゲームなって、最後はコスト勝負になる。すぐに陳腐化する。だから、陳腐化する前に、また上の段階で標準化して横展開しないといけない。

そうした改革を行うのは、会社のOSを入れ替える必要がある。個人や組織の行動様式やパターン、価値観など根本的な転換を迫られる。それはやはり大変。従来のOSに合わせて人事評価もされてきているし、フォーマルな人事評価だけでなく、誰をすごいと思うかといった価値観も醸成されている。それを切り替えるのはある種コペルニクス的な転換を伴う。

シャープは今がチャンスかもしれない

大きな軋轢を伴うので、いろんな悲劇も起きる。光と影ができる。士族階級が全員失業みたいなことが起きちゃう。それはやはり平時にはできない。太平洋戦争の敗戦のように全部のシステムが壊れたときでないと難しい。

倒産危機のような危機バネが効いているときに、英明な君主が出てきてガーッと改革をやってしまわないと平時ではできない。日産自動車のカルロス・ゴーンさんもそうだった。

逆に言うと、経営危機にあるシャープは今がチャンスかもしれない。(第2回に続く)

(撮影:今井 康一)

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

この著者の記事一覧はこちら
前野 裕香 ライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

まえの ゆか / Yuka Maeno

1984年生まれ。2008年に東洋経済新報社に入社し記者・編集者として活動した。2017年にスタートアップ企業に移り、広報やコンテンツ制作に従事。現在はフリーランスライターとしても活動中。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事