河野談話見直しは愚策 ジョセフ・S・ナイ氏に聞く

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日本に危険なナショナリズムの兆候はまったく見えない。ただし、それをかき立てようとする人がいるのも、また事実だ。カギになるのは、石原氏や橋下徹・大阪市長が政治権力を得ようと競争する中で、大衆迎合的なナショナリズムをかき立てるのを慎むかどうかだ。

河野談話見直しは愚策

 ──対中関係に注力するためには、韓国との関係改善も課題です。

戦略的に考えるなら、日本はいかにして韓国との関係を改善するかを自らに問いかけねばならない。「竹島・独島問題」はその一部だ。

私がもう一つ懸念するのは、いわゆる「従軍慰安婦」に関して93年に発表された河野談話(朝鮮半島での慰安婦募集への政府関与を認め、「総じて本人たちの意思に反して行われた」とした)を見直す動きが出ていることだ。日本は自ら災いを招くことをすべきではない。日本が将来について考え、韓国との関係を改善しなければならないときに、好ましくない方法で歴史に異議を申し立てるのは理にかなったことではない。

──日本の一部にある核武装論については、どうみていますか。

日本に核兵器を開発する能力があるのは明らかだ。核兵器開発に積極的な声はつねに存在するが、それはいまだ非常に限られた少数派だ。

集団的自衛に参加する能力を備えた日本を作りたい、という欲求はある。しかし、それは必ずしも核兵器を持つという願望と同じではない。

──日本へのシェール石油、シェールガス輸出に賛成しています。

日本との緊密な同盟関係、エネルギー安全保障の重要性に鑑みて、米国は原油とガスの日本への輸出を可能にする法律を制定すべきだ。現在、米国はアラスカから日本に向けて原油を輸出しているが、そのほかの州からの輸出には問題がある。日本への原油とガスの確実な輸出のためには、この点を改善する必要がある。

週刊東洋経済編集部
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