「大氷河期」迎えた海運・造船 膨大な新船、運賃は暴落

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同90隻運航の川崎汽船は前期に解撤や売船を計3隻実施済み。「13年度前半にかけて船をさらに10隻程度削減する」(浅野敦男執行役員)。

こうして各社が解撤や売船を進めることで、12年には約80隻のケープが処分される。ただ、竣工は約240隻、差し引き約160隻の純増になる。10年は純増195隻、11年は同184隻。依然高水準にある。

ケープの運賃相場はいつ回復するのか。日本郵船の小笠原氏は、「15年からブラジルやオーストラリアの鉄鉱山が約3億トン増産する。そうなれば、ケープサイズ船に換算して約300隻の需要増が見込める。それを見越して14年にも運賃相場は上向いてくるのではないか」と語る。

川崎汽船の浅野氏も、「中国の粗鋼生産量は今年7億トン、15年には8億トン、17年には8億5000万トンに増加する。中国産の鉄鉱石は品質が低下しているので、輸入鉄鉱石への代替も進む」と期待をにじませる。

一方で懐疑的な見方もある。「運賃が上昇するためには、予期せぬ相当の需要増が必要。だが、今後の需要増が想定できる時点で、出し抜けに新造が再開されかねない。本格的な運賃上昇は難しいのでは」(メリルリンチ日本証券調査部の運輸セクターの土谷康仁ディレクター)。中国爆食を契機とした大量発注の誤算。それが招いた運賃相場の低迷。海運業界は“氷河期”に突入した。

(本誌:渡辺清治、広瀬泰之、山田雄一郎 =週刊東洋経済2012年11月17日号)

 

 

 

 

 

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

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