澤田秀雄が「ロボット王国」で描く世界一の夢 熊本地震、ロボット、人材育成のすべてを語る

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――ロボットには莫大な研究開発費用がかかるのではないか。

それは考え方次第だ。もちろん投資はゼロじゃない。やってみてよくわかったのは、ロボットはハード、機械だけじゃ動かない。そこに頭脳としてのソフトが入る。さらに運用も重要だ。万能ロボットなんか作ろうと思ったらまだ何十年もかかるけれど、運用の仕方によっては、特定の作業をするロボットだけでもいい。運用も含めた3つが必要なのに、皆、ハードとソフトしか考えてない。

たとえば「変なホテル」のロボットは、フロント業務(受付)だけやらせているから、使えるわけ。機能的にはそんなに優れていないけれど、運用面で優れている。モーターが3時間で焼き切れるとか、音声認識が中途半端で方言は聞き取れないとか、使ってみないとわからないことがいっぱいある。だいたい、10体中9体は使えない。

人口減を補うにはロボットか移民しかない

すでに開業している「変なホテル」ではいたるところでロボットが活躍している(撮影:長﨑辰一)

今後、日本の人口は今の1億2000万人から1億人になって、8000万人まで減少してゆく。サービス産業に関わる若者は、今でも足りないのに、もっと足りなくなる。インバウンド(訪日外国人客)がどんどん増えて、ホテルが増えるのはいいけれど、誰がサービスするのか。

これを補うには2つしか方法がない。ひとつはロボット化を進めて生産性をあげることと、もうひとつは移民政策により海外から労働者を連れてくること。テクノロジーが進化すれば、一部をサービスロボットで置き換えることは十分に可能だ。

――こうしたプロジェクトをハウステンボスで行う理由は?

ハウステンボスは広大な私有地を持つ"一つの国"みたいなもの。面積でいえば、モナコ公国と同じくらいの大きさがある。たとえばもうすぐ、自動運転バスが走る。私有地だから特区などの許認可をとらなくても走らせることができる。2~3年もかけて許認可をとれるものを開発していたら、世界のスピードに勝てない。

ハウステンボスなら安全面の確保さえできれば、明日にでもOK。どんどんやってみて、ダメだったら改良すればいい、使えなかったらやめればいい。そうすると面白いものがいっぱいでき上がる。実用実験で使えるものは全国でも使える。「変なホテル」は世界中のホテルチェーンから一緒にやりたいという要望がたくさん来ている。

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