最高益HIS、忍び寄る海外テロに一抹の不安 海外旅行事業に吹き寄せるイベントリスク
「僕らは平和産業。テロばっかりじゃ、やってられないよ――。ある旅行会社の首脳はそう嘆く。
旅行会社大手HISは12月4日、2015年度(2014年11月~2015年10月期)本決算を発表した。売上高は5374億円(前期比2.7%増)、営業利益は199億円(同25.6%)と、大幅な増収増益を達成。純利益は108億円(同20.3%増)と、3期ぶりに過去最高を更新した。
主力の旅行事業の部門利益は125億円(前期比21.5%増)。ビジネスクラス利用コースの拡充、添乗員同行ツアーの販売が好調だったことが、収益に貢献した。
売上高では300億円程度に過ぎないテーマパーク事業も、部門利益は94億円(同21.8%増)と、ほぼ旅行事業に並ぶ水準をたたき出した。ハウステンボスで、今年5月に開設した「健康と美の王国」や「変なホテル」、花火やプールなど、季節に合わせた強化策が集客増につながったためだ。
連続最高益でもテロに質問集中
2015年度決算と同時に明らかにした、2016年度(2015年11月~2016年10月期)の見通しは、売上高5900億円(前期比9.8%増)、営業利益228億円(同14.2%増)。純利益も123億円(同12.9%増)と、2期連続で最高益を更新する見込みを示している。
引き続き、国内・海外の旅行事業が好調なことや、部門利益率が2割近いハウステンボスなどのテーマパーク事業で、客数の増加が続くことを想定しているためだ。
今年度も好調を維持する見通しのHIS。が、決算会見の場では、3週間前の11月中旬に起きた、パリ同時テロ事件の影響について、質問が集中した。
平林朗社長は「約3000人のキャンセルが出たフランス行きの予約は前期比で7割減。欧州全体では3~4割減になっている」と説明。ただ、今期の見通しについては、「欧州以外の数字は上がっており、全体ではプラスになる」という。
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