ホンダが「アクア」独走に待った 新型HVエンジンを開発

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エンジンとモーターはクラッチを介して接続するシステムとし、加速時や高速走行時にはエンジン+モーターアシストで走行、エンジンが苦手とする発進時や低速走行時には、クラッチを切り離してモーターのみで走行が可能だ。また減速時もエンジンとモーターを切り離して減速エネルギーを効率的に電池に回収できるようにした。減速エネルギーをより多く電池に回収できれば、その分エンジンによる発電が不要になり燃費向上につながる。

既存のホンダのハイブリッドシステムは、エンジンとモーターが直結している。このため、モーター単独走行ができずエンジンが苦手とする低速走行が非効率になっているほか、減速時も減速エネルギーがエンジンブレーキとしてロスするため、電気エネルギーとしての回収効率が悪くなっていた。

モーター単独で3kmの走行が可能

またバッテリーにはリチウムイオン電池を採用、少ない電池重量で効率的な充放電を可能にしている。これによりモーター単独で3キロメートル程度の走行が可能になった。

トランスミッションは、伝達効率を最大限に引き上げるため、7段のデュアル・クラッチを採用した。デュアル・クラッチは2枚のクラッチを用いて、コンピュータ自動制御でギアの偶数段と奇数段を交互に切り替えていく変速方式。ベルトを用いた無段変速(CVT)に比べ、ギアのかみ合わせで動力をタイヤに伝達するため原理的にロスが少ない。ギアの変速感を伴ったキビキビした加速性能も特徴だ。1モーターによるハイブリッドエンジンを前提に、ホンダとしては初めてデュアル・クラッチを採用した。

今回は排気量1.5リットルのシステムを発表したが、もっと小排気量のエンジンにもこのシステムは適用できるという。さらなる低燃費化にも期待できそうだ。

丸山 尚文 東洋経済 記者

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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

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