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河合楽器製作所・創業家娘婿の4代目新社長が挑む「ピアノ倍増計画」の勝算、コロナ禍で最高益後に赤字転落、物言う株主も浮上

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河合楽器は「ピアノ一本足打法」ともいえる戦略を採ってきた。国内のアコースティックピアノ市場では46.4%(同社調べ)のシェアを握る(記者撮影)

1927年創業のピアノメーカー、河合楽器製作所。静岡県浜松市に本社を構え、2代目社長の名を冠した最高級グランドピアノ「シゲルカワイ」は世界的なピアニストからも高い評価を受けている。

河合楽器は3月19日、「KAWAI 十年の計」と題した10カ年の新中期経営計画を発表した。新たな中期経営計画の中心にいるのが、新社長の河合健太郎氏(47)だ。

「カワイがこれから、どういう方向に向かうべきか深く考えてきた」と語る健太郎氏は、創業家3代目で30年以上トップを務めてきた故・河合弘隆前会長兼社長の娘婿。2024年2月に76歳で急逝した弘隆氏の後任として、当時副社長だった健太郎氏が社長に就任した。 

23期ぶり営業赤字転落からの反転

社長就任から1年あまりで公表された今回の中計では、従来3年だった経営計画が10年に延長された。長期的に企業価値向上を目指す姿勢を明確にし、「100年後もつづく、音楽文化を。」というビジョンを掲げ、「会社の存続ではなく、音楽を日常に根付かせる」という決意を込めたという。

河合健太郎社長は外資系保険会社などを経て2007年入社。2012年に執行役員に就任、ピアノ事業部長や生産本部長を歴任。コーポレート戦略本部の本部長も務め、IRの情報発信や投資家との対話などを積極的に推進してきた(記者撮影) 

新中計では、2035年3月期に売上高1300億円、営業利益150億円、自己資本利益率(ROE)16.0%という目標を掲げる。2024年3月期の売上高801億円、営業利益32億円と比べると、かなり意欲的な計画である。

柱となるのは、ピアノや電子ピアノを含む鍵盤楽器事業の強化だ。10年間で売上高を344億円から814億円(約2.3倍)へ拡大するという大胆な方針を打ち出す。

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